走行性能の高いホイール型林業機械の利用を促進するため、現行の規制を見直す検討作業が政府内で始まった。規制改革推進会議の農林水産ワーキング・グループ(座長=岩下直行・京都大学公共政策大学院教授)は、11月26日に開催した第3回会合で高性能林業機械の公道利用を可能にするための論点などを整理し、道路運送関係の規制緩和を視野に議論を進めていくことにした。
公道通行などを目指し政府のワーキング・グループが検討開始
日本で普及している林業機械は、走行部に鉄やゴム製のクローラベルトを装着したクローラ型の建設機械をベースマシンとしたタイプが多い。導入台数が多いため価格が比較的安く、修理等のサービス網も整っているが、走行スピードが遅く、伐採箇所の奥地化で集材距離が長くなると、生産性を上げる際のボトルネックになっている。これに対して、欧米では、走行性能の優れたホイール型の林業機械を中心にした作業システムによって生産性を高めている。
欧米と日本では作業条件が異なるため単純な比較はできないが、政府が目標に掲げる林業の成長産業化を実現していくためには、ホイール型林業機械の活用は避けて通れない課題といえる。ところが、日本で導入されている2,784台のフォワーダのうちホイール型はわずか18台、ハーベスタも1,918台のうちホイール型は11台にとどまっている(2019年度時点)。欧米からホイール型の林業機械を輸入しても保安基準を満たさないため公道を走行できず、特殊車両扱いにするための許可申請の煩雑さなども導入を躊躇わせる要因になっている。一方、農業分野では、トラクタが小型特殊車両として普及している実態があり、路網整備などインフラ対策を進めながら、日本タイプのホイール型林業機械活用策を講じることが必要になっている。
(2021年11月26日取材)
(トップ画像=ホイール型高性能林業機械の公道走行を可能にした場合のメリットと課題)
『林政ニュース』編集部
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