米国が追加関税発動、スギフェンス材の輸入に10%

全国 海外 税制

米国政府は、針葉樹の丸太と製材品の輸入に10%の追加関税を課す措置を10月14日(現地時間)に発動した*1。併せて、木製品等の輸入に25%の追加関税をかけ始めた。ただし、日本とEUの木製品等に対する関税は最大で15%にとどめる特例措置を講じている。

日本から米国への年間木材輸出額は約56億円となっており、その約半分はスギ製材で主にフェンス材として輸出されている。これまでは無税で輸出できていたが、10月14日からは分野別関税の対象として10%が課税されるようになった。また、残り半分の木製品などについては、相互関税の対象として15%が課税される(参照)。

日本から米国への木材輸出額(2024年)

スギ製材(フェンス材)は、日本の対米木材輸出で最大の関心品目であり、関税がゼロから10%に引き上げられると米国内での類似製品との競合が激しくなる恐れがある。ただし、「今のところ目立った影響は出ていない」(10月15日時点、林野庁木材利用課木材貿易対策室)という状況だ。

米国のトランプ大統領は、3月1日に輸入木材が国家安全保障に与える脅威を緩和する措置について調査し、270日以内に結論を出すことを盛り込んだ大統領令に署名した。これを受けて米国政府は調査を進め、9月29日に通商拡大法232条に基づいて分野別関税を賦課する方針を明らかにし、10月14日から実行に移した。

なお、米国の年間木材輸入額は約3兆5,000億円で、輸出額(約1兆3,000億円)の2.6倍と大幅な“赤字”となっている(トップ画像参照)。輸入先国のトップはカナダ(49%)、第2位は中国(8%)で、両国とは激しい貿易摩擦が生じている。その中で日本からの輸入額は0.2%程度しか占めておらず、存在感は薄いのが実情だ。

(2025年10月15日取材)

(トップ画像=米国の木材輸出額(左)と木材輸入額、2024年)

『林政ニュース』編集部

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