国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、地球温暖化の影響に関する最新の科学的知見をまとめた第6次評価報告書を2月28日に公表した。IPCCの第2作業部会が8年ぶりに作成したもので、産業革命前と比べて気温が1.5~2度上昇すると、生態系や人間に中長期的なリスクをもたらすと警鐘を発した。
森林については、林業経営や樹種構成などに影響が出て、病害虫や森林火災などへの対策が必要になると指摘。一方で、持続可能な森林経営は、「炭素の蓄積と吸収源のレジリエンス(適応力)を高める」と評価し、温暖化防止に有効との見方を示した。また、品種改良やアグロフォレストリーなどは、食料安全保障や生物多様性の保全など様々な便益をもたらすとも位置づけた。
IPCCは、国際的な科学者のネットワークで、各国の政策決定に指針を与える役割を担っている。日本からは9名の科学者が報告書の執筆に参加し、日本政府も査読などを通じて作成作業に協力してきた。
(2022年2月28日取材)
『林政ニュース』編集部
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