大阪府木材連合会は、大阪・関西万博会場の“玄関口”である大阪メトロ夢洲駅の「カームダウン・クールダウンスペース」にマグネット式のスギ材スリットを8月6日に取り付け、木質化を図った。
同スペースは、音や光など外部の刺激を遮断して気持ちを落ち着かせるための空間。主に、発達障がいや感覚過敏のある人が不安な状態になりそうなときに利用する。2024年4月に施行された改正障害者差別解消法により、民間業者もパニック障がいや感覚過敏などに「合理的配慮」をすることが法的義務となり、同スペースの設置が推奨されている。
夢洲駅は、鉄道関係では初めて、同スペースを地下1階の改札内コンコースと改札外に2か所ずつ設けた。
府木連は、同スペースの効果をより高めるために、越井木材工業(株)と連携し、同社が開発した「スギスリットマグネット」の活用を提案し実現した。

運営主体の大阪メトロ(大阪市高速電気軌道(株))は当初、防火・消防の観点から同スペースの木質化に難色を示していた。そこで府木連は、京都大学などと連携して蓄積してきた実証研究の成果などをわかりやすく説明するとともに、マグネット式なので取り扱いが簡便であることなどをアピールし、採用に至った。
同スペースの利用者からは、「匂いがよく落ち着く」との好反響が出ている。
府木連は、今後も空港などに設置されている同スペースの木質化を働きかけていくことにしている。
(2025年8月6日取材)
(トップ画像=スペース内に取り付けた「スギスリットマグネット」)
『林政ニュース』編集部
1994年の創刊から31年目に突入! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしてまいります。