サイプレス・スナダヤの北海道進出プロジェクトが再開

北海道 木材・木製品製造業

一旦は白紙となっていた(株)サイプレス・スナダヤ(愛媛県西条市、砂田雄太郎・代表取締役社長)の北海道進出プロジェクトが再び動き出した。

同社と親会社の(株)大林組(東京都港区、佐藤俊美・代表取締役社長兼CEO)及び中部電力(株)(名古屋市東区、林欣吾・代表取締役社長)は、当初計画を見直した上で釧路市内に新工場を建設し、2028年4月の稼働開始を目指す計画を明らかにした(7月22日に発表)。

規模を縮小し、2028年4月の稼働開始を目指す

国内屈指の大手木材企業であるサイプレス・スナダヤは、昨年(2024年)3月に北海道の釧路市に進出する構想を示し*1、11月に中部電力と事業主体となる(株)釧路ウッドプロダクツ(釧路市)を設立。日本製紙(株)釧路工場跡地(約19ha)に製材工場と集成材工場を新設して、2027年4月から構造用集成材や2×4(ツーバイフォー)工法用ディメンションランバー、チップ、ペレットなどを生産することにしていた。

だが、工事に必要な資材費や人件費などの高騰で事業の採算性を確保することが難しくなったため、今年(2025年)に入って当初計画の遂行を断念し、再検討を進めていた*2

集成材工場は断念し製材に特化、10万m3でスタートし36万m3

新たに打ち出した計画では、プロジェクトの対象地を釧路市内の別の場所(民有地)に移し、面積も約6.7haに縮小する。建設するのは製材工場だけとし、集成材工場の併設は見合わせる。

新設する製材工場には、同社の東予インダストリアルパーク工場(西条市)で稼働している欧州製の高性能全自動加工ラインなどを導入し、国際水準の生産性を目指す。

原料は道産のトドマツを主体とし、アカエゾマツや道南のスギなども幅広く利用する。稼働開始時の原木消費量は10万m3程度でスタートし、2年目に約20万m3、3年目には約36万m3に増やしていく方針。操業後3年目の従業員数は40~50人を見込んでいる。

当初計画から規模を縮小したとはいえ、10万m3を超える規模の大型工場が道内に誕生するインパクトは大きく、地元関係者の間からは、「原木の確保がうまくいくか、既存の工場に影響が出ないか、注視していかなければならない」などの声が出ている。

(2025年7月22日取材)

(トップ画像=東予インダストリアルパーク工場で稼働中の全自動加工ラインはオペレーターが集中的に管理している)

『林政ニュース』編集部

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