岐阜県森林研究所(美濃市)が「第4回Digi田甲子園」で内閣総理大臣賞(優勝)に選ばれた。同甲子園の審査委員会選考枠・地方公共団体部門でトップになったもので、林業分野の取り組みが優勝を果たしたのは初めて。3月13日に首相官邸(東京都千代田区)で表彰式が行われた。
同研究所が取り組んだテーマは、「デジタル地図で災害に強い森林作業用道路の適地を見える化!」。同研究所は、2021年から県立森林文化アカデミーや森林総合研究所などと共同でデジタル地図「ぎふ森林情報WebMAP」を管理運用しており、その中で災害に強い林業専用道・森林作業道の選定を支援するシステムを開発したことが評価された。
開発した支援システムは、「路網整備難易度推定図」と「土石流災害リスク評価支援図」の2つで構成されており、道路整備の難易度と土石流災害リスクを視覚的に把握できる。2024年3月には、同地図の活用に必要な「路網整備適地選定における山地災害リスク評価手法の解説」も公表した。急峻かつ複雑な地形が多い同県では、森林作業道の整備で土砂災害を防ぐために適地の選定が重要な課題になっており、従来の現地測量だけでは再検討が発生するケースもあって技術者の負担となっていた。開発した支援システムを活用することで、適地選定の労力が50%以上削減でき、成果を上げている。 また、この支援システムは、必要なデータなどを用意すれば他の自治体でも応用でき、審査委員からは「全国展開を期待する」とのエールが送られた。
(2025年3月13日取材)
(トップ画像=「路網整備難易度推定図」と「土石流災害リスク評価支援図」の画面)

『林政ニュース』編集部
1994年の創刊から早くも31年目! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしてまいります。