北海道の石狩森林管理署(札幌市)と千歳市は、アイヌの伝統的儀式で使われる祭具や民族衣装、生活用具の素材を国有林から無料で採取できるようにする「アイヌ共用林野契約」を3月29日に締結した。
同契約は、2019年施行のアイヌ新法(「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」)に基づく特例措置。2020年7月に日高南部森林管理署(新ひだか町)と新ひだか町が結んだ契約に続き、道内で2件目になる。
1件目の契約では、新ひだか町内の国有林約1,070haからヤナギの枝を年間600本年採取できることを申し合わせた。
今回の契約では、千歳市内の国有林約2,500haを共有林野に設定し、ツルウメモドキ、ヤマブドウ等の「つる類」、イケマ、ナギナタコウジュ等の「薬草」、サルナシ、ハスカップ等の「果実」、その他の山菜・きのこ類など木材以外の森林資源を無償で採れるようにした。採取後には種類と量を報告し、山火事や盗伐、有害鳥獣害などにも対処する。
契約締結に向けて実施した資源調査では、絶滅したとみられていたオヒョウニレが千歳市内で発見された。石狩署の担当者は、「オヒョウニレを含めた木材は、協議を進めながら有償で提供することを検討し、アイヌ文化の継承等に貢献していきたい」と話している。
(2022年3月29日取材)
『林政ニュース』編集部
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