大分県立日田林工高等学校(大分県日田市)は、来年(2025年)4月に入学する「林業科」の生徒を全国から募集する。同市の椋野美智子市長が8月30日の定例記者会見で明らかにした。森林・林業に関する科目やコースを設けている高校は全国に72校あるが、生徒の募集範囲をオールジャパンに広げるのは初の試みとなる。
同校は、1901(明治34)年に県立農林学校として創立され、120年以上の歴史を持つ。これまでの卒業生は約2万5,000人に上っており、林業界にも多くの人材を輩出している。
「林業科」は、実習等を交えて各種の資格が取得できる実践的なカリキュラムを組んでおり、2011年4月に竣工した教育棟では内装に県産スギを使用するなど環境整備も進めている。今年(2024年)4月には、日田木材協同組合(瀬戸亨一郎理事長)が独自の支援制度を立ち上げる*1など、林業関係者らも同校生徒の募集・確保に協力する体制をとっている。
椋野市長は定例記者会見で、地元からの要望を踏まえて県教育委員会などと検討を進めた結果、8月23日付けで全国募集を実施することが正式に決まったと経緯を説明した。
その後、募集人員は、定員35名の20%程度(7名程度)にすることが決まった。

椋野市長は、募集範囲を全国に拡大するメリットとして、①生徒数が急速に減少している中で日田市に林業高校が存在する重要性を広くアピールできる、②県外から生徒を受け入れることで将来的な移住・定住の可能性が高まる、③全国募集枠で入学した生徒が卒業して日田市を離れたとしても“関係人口”としてのつながりが構築される──などをあげ、「当市だけでなく日本の林業にとっても大きな意義がある」と強調した。
(2024年8月30日取材)
(トップ画像=大分県立日田林工高等学校の校舎)

『林政ニュース』編集部
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