初の「中日本キノマチサミット」開催、3日間のツアーで連携の輪を広げる

岐阜県 愛知県

初の「中日本キノマチサミット2026」が6月25日から27日まで、愛知・岐阜両県で実施された。発案者で実行委員長もつとめた(株)アーティストリー(愛知県春日井市)の大西功起・取締役は、「展示会などのイベントは東京でやることが多いが、中日本にも面白い人がたくさんいる。その人達が混ざり合う機会をつくりたかった」と開催意図を話す。この呼びかけに約40名が応じ、3日間のツアーが行われた。

ハイライトはヤトミ製材の「水中乾燥」と巨木加工技術

「キノマチサミット」の行程は、初日が愛知県岡崎市の森林と(株)タマディック(東京都新宿区)の豊田オフィス「 Mobius Park」(愛知県豊田市)の視察。2日目は、広葉樹原木市場の平野木材(株)(岐阜県各務原市)と(株)ヤトミ製材(愛知県弥富市)及びアーティストリーを訪ね、最終の3日目はタマディックの名古屋ビル(愛知県名古屋市)などを巡った。各日とも夕刻からトークセッションを行って交流と議論を深めた。

この中で、ハイライトとなったのが木材の「水中乾燥」を行っているヤトミ製材。

同社が管理する名古屋港の貯木場では、約2,000本の原木(丸太)が水中でストックされている。水の中では、浸透圧によって原木の細胞内の水分が抜け出す。同社は、原木を半年以上水の中に浸け置いており、干割れ・日焼けの予防ができるほか、反り・ネジレの低減やアク・ヤニの発生防止といった効果が確認されている。

「水中乾燥」は、かつては全国の港湾でみられていたが、現在ではほぼ同社しか手がけていない。

「水中乾燥」から引き上げられた巨木

ヤトミ製材にはもう1つ、目玉がある。それは、直径2.5m、長さ14mまで加工できる帯鋸製材機(トップ画像参照)。

同社では、どのような巨木でも受け入れる体制を整えており、首里城の復元や東日本大震災で被災した「奇跡の一本松」の再生プロジェクトなどに携わってきた。加藤圭一郎・専務取締役は、「木のことで困ったらヤトミ製材に連絡すれば何とかなると言われるようになった」と口にし、「水中乾燥などの技術を次世代につないでいきたい」と語った。

木を使うと社員が健康になりストレスも低減──タマディック

都市の木造・木質化でインパクトを与えたのがタマディックの取り組み。同社は、航空機や自動車などの開発設計を担うエンジニア集団で、社員の約9割を技術者が占める。「All For Well Engineer Life(すべては良いエンジニア人生のために)」というコンセプトを掲げて健康経営を追求している。

2021年11月に竣工した名古屋ビルは、建築家・坂茂氏が設計し、CLT(直交集成板)を用いた木質免震構造のオフィスビル。地上8階・延床面積約4,500m2、最上階には駐日フィンランド大使が認定した日本初のオフィスサウナ「LUOVA SAUNA(ルオヴァ サウナ)」を備える。

2026年6月にできた豊田オフィスも坂茂氏が設計し、「健康棟」には国内最大級のオフィスサウナなどがある。

1日目はタマディックの豊田オフィスでトークセッションを行った

同社の森實敏彦・代表取締役は、「格好良く、気持ちいいから木を選んでいる。社員もからも『健康になった』、『ストレスが減った』という声が出ており、話題性があるのでビジネス面でもメリットがある」と話した。

「サミット」を企画した大西氏らは、活動を継続・活性化するためオンラインコミュニティを開き、団体の設立も視野に入れている。「ツアーの開催、参加がゴールではなく、今からがスタート」(大西氏)とし、「中日本から始まるRelationship」を合言葉に活動の輪を広げていくことにしている。

(2026年6月25日~27日取材)

(トップ画像=直径2.5m、長さ14mの原木(丸太)まで加工できるヤトミ製材の帯鋸製材機)

『林政ニュース』編集部

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