福島県特産の「会津桐」を育成して関連産業の再興や里山林の整備促進を図る新たな取り組みが始まった。県が開発した病気に強く成長の早い「桐玉植苗」の植樹祭が11月18に下里町の大内地区(大内宿)で行われた。人口減少などで会津桐の商業的な苗木生産は2011年以降行われていないが、優良種苗の育成と普及を通じて観光資源としても活用することが計画されている。
植樹祭を主催したのは、今年(2021年)1月に発足した会津里山森林資源育成研究会。同研究会は、県が開発した新技術の現場適用事業に取り組んだ4事業者の5名で構成され、「桐玉植苗」の生産技術を習得した唯一の団体となっている。会長は、元林木育種センター育種部長で年樹(株)社長の星比呂志氏(喜多方市)。星氏は、同センターを退職後、苗木生産者となってファーム年樹を立ち上げ、今年4月に株式会社化を果たすなど順調に事業を発展させている。
「桐玉植苗」は、親木の優れた性質を受け継いだ種子から育成した苗木。幼苗期はできるだけ土壌に触れさせないことで病気に罹りにくくしており、根系の発達がよく植栽後は早期の森林化が期待できる。桐は、初夏にかけて美しい紫色の花をつけるので、里山景観の魅力度アップにも役立つ。
植樹祭の開催地となった大内宿は、江戸時代から続く宿場町の町並みが残る観光地で、「ネギそば」や「とち餅」などで有名。新型コロナウイルスの感染予防を図るため参加者は地元の関係者に限ったが、式典の模様はオンラインで配信した。
(2021年11月18日取材)
(トップ画像=「桐玉植苗」の植栽後3年目の様子(樹高約8ⅿ))
『林政ニュース』編集部
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