秋田県が再造林拡大へ「新たな仕組み」を導入

秋田県 造林・育林 予算・事業

秋田県は、来年度(2022年度)から再造林支援対策を拡充・強化する。新たに「カーボンニュートラルに挑戦する再造林拡大事業」(予算額8,760万円)を創設し、県内民有林の再造林率を現状の28%(実績は332ha、2020年)から2025年には50%(同750ha)に引き上げることを目指す。同県の佐竹敬久知事は、昨年(2021年)4月の知事選で、「二酸化炭素(CO2)吸収源として再造林拡大による山の若返りと木材産業振興」を公約の1つに掲げて4選を果たしており、同県の重点事業に位置づけて推進する。事業期間は4年間。

新規事業では、再造林支援の「新たな仕組み」を導入するとともに、技術開発や苗木増産、人材育成、普及体制整備などを総合的に実施する。

>お送りするpdfの中の図を入れて下さい>再造林を支援する「新たな仕組み」の概要

中心となる「新たな仕組み」は、のようなスキームで行う。森林所有者と「造林保育管理契約」を締結した林業経営体(森林組合や林業事業体等)が、所有者に代わって再造林とその後の保育・管理を約10年間にわたって実施する。この取り組みを支援するため、造林地の集積に取り組む林業経営体にはha当たり上限15万円、これに応じる所有者には同5万円を助成し、対象林地の調査や境界確認などの経費に充てられるようにする。

また、所有者に再造林などの働きかけを行う「あきた造林マイスター」を育成して、造林地の適地判定調査や収支プランの作成などを担うことにより同契約の締結促進を図る。同マイスターは、森林施業プランナー等の有資格者を対象とし、認定研修を通じて専門的な知見を習得できるようにする。所有者と経営体の双方を支援する「新たな仕組み」に、同マイスターが推進役として加わることで、再造林に関わる経済的な負担感と将来への不安感の解消を目指す。

「新たな仕組み」とともに、実践フィールドを活用した低コスト・省力造林技術の研修や新たな林業機械の導入実証、エリートツリー(スギ・カラマツ)等採種園の整備や苗木生産者による幼苗生産・育苗分業化の実証なども進める。また、「あきたの森林若返り普及促進事業」として、「あきた未来へつなぐ造林運動」を推進するほか、森林所有者向けパンフレットの作成・配布や一般県民向け出前講座の開催などを通じて、森林・木材がCO2を吸収・貯蔵する効果について広くPRすることにしている。

輸入ラミナからの転換を支援、「あきた材販路拡大事業」拡充

秋田県は来年度予算で、現在実施中の「あきた材販路拡大事業」(第651号参照)を拡充することも予定している。新たに「あきた材サプライチェーン強化事業」を補助メニューに加え、県産スギ集成材の生産・流通体制や販売ルートの整備を進める。集成材の原料に県産スギを使用した場合のコストや品質の検証を行い、輸入ラミナからの切り替えを促すとともに、「あきた材パートナー」に登録している県外の工務店などと連携してサプライチェーンを構築する。助成対象者は、集成材・製材工場や工務店等で、定額補助(上限500万円)を行う。

また、企業からの投資によって森林整備を進めやすくするため、産地情報の提供や植樹活動への支援などにも着手することにしている。

『林政ニュース』編集部

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