| 事業者名 | 株式会社サイプレス・スナダヤ |
| 代表者名 | 砂田和之・代表取締役社長 |
| 所在地 | 愛媛県西条市小松町新屋敷甲1171番地1 |
| 創業年 | 1892年 |
| 業種・アンケート種類 | 製品製造事業者・(NO.2) |
| 年間原木消費量 | 280,000 m³ |
| 輸送主体 | 委託 |
| 輸送手段 | トラック、JR貨物、船舶 |
| ヒアリング対応者 | 砂田雄太郎・取締役専務(2025年4月に代表取締役社長に就任) |
7.2.1.1. JR貨物と船舶を併用してトラック輸送への依存度を軽減
同社が進めているモーダルシフトは、日本貨物鉄道株式会社の「JR貨物」と、内航船など船舶の利用である。複数の輸送手段を組み合わせることで、トラック輸送に過度に依存しない物流体制の構築を目指している。
JR貨物の利用にあたっては、31フィートコンテナの導入が効率化に寄与している。従来は20フィートコンテナを使用しており、木材製品の積載効率が悪かったが、31フィートコンテナの場合は大型トラックと同量を積載でき、鉄道による輸送量が増加した。現在は、月間8本のコンテナ輸送を行っている。これはJR貨物側のコンテナ供給力によるもので、同社としては、さらにJR貨物の利用を増やすことを望んでいる。

船舶の利用については、九州地方や北海道からの原木調達において内航船を利用している。499t級の内航船を週1回運用し、月間約4,000m³の原木を調達している。これは同社全体の原木調達量の約15%を占め、トラック輸送への依存度軽減に大きく貢献している。

同社は、フェリーやRORO船を利用したトレーラー輸送にも取り組んでいる。日本通運株式会社などの船舶を利用し、トレーラーから木材製品を積載した荷台を切り離し、荷台だけを首都圏に輸送することも月に3~5回程度実施している。
このようなモーダルシフトの推進は、コスト面では若干割高になる場合もあるが、同社は単純なコスト比較ではなく、物流の安定性とリスク分散を図る観点から今後も進めることにしている。
7.2.1.2. 運送事業者と長期的なパートナーシップの構築を目指す
同社は、「物流の2024年問題」への対応として、トラック輸送に係る費用を約30%引き上げてきた。これは経営面では大幅なコストアップとなるが、同社としては物流を安定化させるための必要な投資と位置づけている。
トラック輸送費の引き上げは、2023年から運送事業者との協議を重ねて、段階的に行ってきた。その背景には、輸送単価を上げなければ運送事業者の経営が難しくなるという現実がある。
同社は約20社の運送事業者と約30年にわたり取引している。運送事業者との契約は、台数や金額を固定するのではなく、単価を決めて実績ベースで精算する柔軟な手法をとっている。また、木材製品の出荷量(輸送量)をできるだけ平準化して、運送事業者に安定的に発注することで、ドライバーの雇用維持を間接的に支援している。 同社は今後も、多様な輸送手段を確保し、運送事業者などとの長期的なパートナーシップを維持し、木材製品の安定供給体制を強固にしていくことにしている。
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(株)日本林業調査会
1954年創業。「林政ニュース」の編集・運営・発行をはじめ、森と木と人にかかわる専門書籍の発刊を行っている。