兵庫県の神戸市は、森林関連施策の遂行力を強化するため、「森林官」を継続的に採用することを検討している。
「森林官」の名称は、林野庁の国有林野事業で現場業務にあたる職名(ポスト名)として使用されているが、同市では欧州で職業として成立し人気も高い「森林官」をモデルに専門人材の養成に取り組むことにしている。
同市は、昨年度(2024年度)の組織改正で、森林調査や整備計画の作成、普及啓発などを担当する「森林官」(課長級の正規職員)のポストを建設局防災課内に新設した。
これに続いて今年度(2025年度)は、2人目の「森林官」(係長級の一般任期付職員)を採用して人員を拡充することを目指している。
同市では、「森林官」の新設に先立ち、2024年1月に神戸大学名誉教授の黒田慶子氏(元日本森林学会会長)を副市長に迎えた*1。また、今年度から建設局に森林・防災部を設けて森林課を新設し、課長(森林政策推進担当)と係長(森林政策推進担当)を配置するなど組織体制を拡充している。
同市の森林は広葉樹林の割合が高く、人工林とは異なる維持・管理が求められている。同市の担当者は、「神戸市は緑が豊かという市民の認識はあるが、一歩中に入ると異なる実情がある。『森林官』には市内の森林を大局的に見て、資源循環や防災の観点から森林の健全化に取り組んでいって欲しい」と期待をかけている。
(2025年7月5日取材)
『林政ニュース』編集部
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