要所に災害対策本部を設置、情報共有を進め資材提供などに備える
2月26日に林野火災が発生した大船渡市は、直ちに災害対策本部を設置し、同様に岩手県も災害対策本部を設けた。翌27日には国(農林水産省)も林野火災対策本部(本部長=滝波宏文・農林水産副大臣)を設置し、林野庁職員をリエゾン(災害対策現地情報連絡員)として現地に派遣して連絡調整などにあたっている。
火災が広がっているのは民有林だが、国有林関係の東北森林管理局も2月28日に林野火災対策本部を設置し、地元の三陸中部森林管理署も必要に応じてジェットシューター(背負式消火水嚢)などを提供できるようにしている。
中央団体の全国森林組合連合会や全国木材組合連合会などは、被災者支援となる仮設住宅用の資材等を届ける準備を進めている。
激甚災害に指定し復旧を支援、全都道府県に注意喚起を求める
石破茂首相は3月5日、大船渡市の大規模林野火災について、激甚災害指定を検討しているとの考えを明らかにした。
激甚災害に指定されると、森林災害復旧事業が適用され、通常の造林補助事業を上回る支援が受けられる。補助対象は、被害木等の伐採、搬出、伐採跡地での造林、倒伏した造林木の引き起こし、作業路の開設などで、復旧の後押しになる。
なお、林野庁は、2月27日付けで全都道府県の林務関係部局に対して、林野火災予防対策を徹底するよう通知を出し、注意喚起を求めた。
乾燥と強風により火勢が強まり、急傾斜地が消火活動を阻む
2004(平成16)年度以降に発生した焼損面積100ha以上の大規模林野火災は23件あるが、被災面積が600haを超えたケースはない(トップ画像参照)。
その中で、8年前の2017(平成29)年5月8日に岩手県釜石市で発生した林野火災では、鎮火まで2週間を要し、焼損面積は413ha、被害額は7億4,600万円に上った。延焼が拡大した要因として、乾燥に加えて強風によって飛び火が多数発生したことがあり、急傾斜の地形も地上での消火活動を難しくした。
鎮火後の復旧では、釜石市と岩手県、国、関係機関などが連携して、地拵え、植林、下刈りや森林作業道、シカ防護柵の整備などに取り組んだ。事業が完了したのは2021(令和3)年度で、火災発生から5年間を費やした。
(2025年2月26日、2月27日、3月5日、3月9日取材)
『林政ニュース』編集部
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