NLTを現(あらわ)しの耐力壁として利用へ、実証実験で強度を確認

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NLTを現(あらわ)しの耐力壁として利用へ、実証実験で強度を確認

2×4(ツーバイフォー)材のディメンションランバーを積層して釘や木ねじで接合した新しい木質材料・NLT(ネイル・ラミネイティッド・ティンバー、Nail Laminated Timber)の水平耐力を調べる実証実験が1月16日から19日まで埼玉県草加市の建材試験センターで実施され、耐力壁として利用できる強度があることが確認された。

NLTは、北米で普及しているマスティンバー(Mass Timber)の1種で、大がかりな製造設備は必要なく低コストでつくれ、接着剤を使わないため使用後の再利用がしやすいなどの長所を持つ。2020年8月に日本ツーバイフォー建築協会とカナダ林産業審議会がNLTを使った床版と屋根版について国土交通大臣認定を取得しているが、一層の普及拡大を図るには、現しの“壁”として使用できるようにして、設計デザインの自由度などを高めることが必要とみられている。

「面材あり」のNLT試験体

建材試験センターでの実証実験は、林野庁の補助事業に採択された大阪府木材連合会が五十田博・京都大学教授の指導を得ながら行い、NLTの試験体(高さ5m×幅2m×奥行140㎜)を2種類用意して面内せん断試験を実施した。試験体のうち、スギ2×6(ツーバイシックス)材をCN釘で接合した「面材なし」の壁倍率は速報値3.4、また、柱(4層)2本の間に間柱(3層)を3本入れ12㎜厚の構造用合板をつけた「面材あり」では速報値3.6を計測した。

大阪府木連は、NLTを耐力壁として使用できるデータが得られたことを踏まえ、2025年大阪・関西万博で建設するパビリオン等での活用などを視野に入れながら技術開発を続けることにしている。

(2023年1月16日取材)

(トップ画像=「面材なし」「面材あり」のNLT試験体)

『林政ニュース』編集部

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