全国知事会の「国産木材活用プロジェクトチーム」が始動 首都・東京の呼びかけに42都道府県が賛同

全国 東京都

全国知事会の「国産木材活用プロジェクトチーム」が始動 首都・東京の呼びかけに42都道府県が賛同

全国知事会(会長=上田清司・埼玉県知事)は、新設した「国産木材活用プロジェクトチーム」の初会合を10月11日に東京都内で開いた。同プロジェクトチームは、首都・東京の呼びかけがきっかけとなって発足し、現時点で42都道府県が参加している。都市と地方が連携した新たな木材需要拡大対策などの“打ち出し”が期待される。

同プロジェクトチームは、7月に開催された全国知事会で東京都の小池百合子知事が設置を提案した。小池知事は、6月の大阪北部地震で学校のブロック塀が倒壊して小学生が死亡した事故を踏まえ、木製の塀に切り替えるべきと主張。そのためには国産材需要の拡大や林業の振興、山村の活性化などにも総合的に取り組む必要があるとの認識が広がり、プロジェクトチームの新設につながった。42都道府県が参画するプロジェクトチームは、全国知事会の中でも最大規模の検討グループになる。

リーダーに小池東京都知事、副リーダーには尾崎高知県知事

10月11日の初会合では、チームリーダーに小池知事、副リーダーに高知県の尾崎正直知事が就任し、「国産木材活用の更なる拡大に向けた緊急提言」のとりまとめについて議論。CLTなど新しい木質材料を利用した先駆的な木造建築物の整備や国産木材を使った塀の設置、木造・木質化を担える人材の育成などに対する支援の強化が必要との考えで一致した。今後、地域振興の重要性を盛り込むなど所要の文言修正を行って同提言を決定し、関係省庁に実現を要請していくことにしている。

「国産木材活用プロジェクトチーム」のメンバー(都道府県)

北海道▽青森県▽秋田県▽岩手県▽山形県▽宮城県▽福島県▽新潟県▽東京都▽群馬県▽栃木県▽茨城県▽埼玉県▽神奈川県▽山梨県▽静岡県▽長野県▽富山県▽石川県▽岐阜県▽愛知県▽三重県▽福井県▽滋賀県▽京都府▽大阪府▽奈良県▽和歌山県▽兵庫県▽鳥取県▽岡山県▽島根県▽広島県▽香川県▽徳島県▽愛媛県▽高知県▽福岡県▽大分県▽熊本県▽宮崎県▽鹿児島県

「東京フォレストビジョン」で、都心に木造高層ビルを提案

知事会が新設した「国産木材活用プロジェクトチーム」は、初動段階では木製塀への切り替え問題に焦点を当てていたが、より広範に木材需要の拡大を目指すことでスタートを切った。とくに、大消費地であり2020年の五輪開催を控える首都・東京が需要創出面でリーダーシップを発揮すれば、波及効果は大きい。

今秋に全国育樹祭を開く東京都は、9月20日に「50年、100年先の『東京の森林の将来展望』~東京フォレストビジョン~」を発表し、今後の取り組み課題を7つのメッセージにまとめ、「東京スギ」、「東京ヒノキ」のブランド化や、「東京フォレストライフ」の創造などを打ち出した。「メッセージ7」では「首都東京が『木の都市』に生まれ変わる!」と宣言し、都心に木造の高層ビルを建設するイメージを掲げている。任期の後半に入った小池知事は、“次の目玉”となる政策を求めているとみられる。その中で、国産材活用がどう位置づけられるかが注目される。

(2018年10月11日取材)

(トップ画像=「東京フォレストビジョン」で打ち出した7つのメッセージ)

『林政ニュース』編集部

1994年の創刊から早30年! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしていきます。

この記事は有料記事(1349文字)です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
詳しくは下記会員プランについてをご参照ください。