宮城県が「再エネ新税」で森林の開発抑制 0.5haを超えると利益の20~30%に課税

宮城県 税制

宮城県が「再エネ新税」で森林の開発抑制 0.5haを超えると利益の20~30%に課税

宮城県は、再生可能エネルギーを利用した発電施設の建設によって森林の大規模な開発が進むことを抑制するため、新たな税を導入する。再エネ発電の推進と森林の保全・利用との調整が課題となっている中で、独自課税によって森林の無秩序な開発に歯止めをかける全国初の取り組みとなる。

同県が設置した有識者会議が新税の仕組みを検討しており、2月21日に開催された県の再生可能エネルギー等・省エネルギー促進審議会で骨子案が了承された。6月の県議会に関連条例案を提出し、2024年4月までに新税を導入するスケジュールを描いている。

骨子案によると、新税は法定外普通税とし、太陽光、風力、バイオマスの発電施設を設置する所有者が0.5haを超える森林を開発する場合に課税する。徴税を通じて発電施設設置者の経済的負担を重くし、施設の建設地を森林から適地(遊休地や事業所など)へ誘導することを目指す。

課税額は、施設の発電出力(kW)に基づいて算出し、営業利益の20~30%程度とすることを検討している。税収の具体的な使途は特定しないが、再エネ発電施設の適地誘導策や再造林などの環境保全対策に充当することを想定している。稼働済みか着工している施設は課税対象外とし、3~5年後をメドに新税の役割や効果を検証し、課税のあり方を見直すことにしている。  

なお、同県の「再エネ新税」では、森林開発面積が0.5ha以下では課税対象外となるが(トップ画像参照)、意図的に0.5ha以下へ事業分割をすると“抜け道”になる可能性がある。このため、複数の所有者が共同開発を行う場合や、開発行為の時期をずらして実施する場合は一体性があると判断することなどを検討している。

(2023年2月21日取材)

『林政ニュース』編集部

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