森林資源フル活用でバイオ化学産業を創出 プラチナ構想ネットワークが「ビジョン」の実現目指す

森林資源フル活用でバイオ化学産業を創出 プラチナ構想ネットワークが「ビジョン」の実現目指す

元東大総長の小宮山宏氏が会長をつとめるプラチナ構想ネットワーク(東京都千代田区)が森林資源をフル活用して“新しい林業”を確立することを目指している。昨年(2023年)5月に基本方針となる「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」を公表し、国内の人工林から伐出される木材を利用してバイオマス化学産業などを立ち上げる構想を提示。その後、1年間余りの検討作業を経て、7月9日にビジョンの実現に向けたロードマップを示し、富山県で先行モデルとなるケーススタディに着手すると発表した。2050年に達成する数値目標として、木材自給率100%、9階建て以下建築物の木造・木質化100%、再造林率100%などを掲げており、産・官・学・民が総力を結集するよう呼びかけている。

同ネットワークは、(株)三菱総合研究所が主体となって2010年8月に任意団体として発足、2022年4月に一般社団法人化し、約460の法人・個人が会員となっている。発足当初から小宮山会長(79歳)の主導で林業の再生を主要テーマに据えており*1、現在はプロジェクトチームを中心に検討作業を進めている。

事務局は、「ビジョンを公表して新しいフェーズに入った」としており、とくに小宮山会長の専門分野でもある化学工学の知見を林業に取り入れることで、新たな成長産業を生み出せるとしている。先行モデルとなる富山県では、3月に高岡市など6市や商工会議所などが連携して協議会を設立、トップ画像のような事業モデルの構築を目指しており、「バイオマス利用がカギになる」(事務局)という。

プロジェクトチームの委員長は、大手化学メーカーである(株)トクヤマの横田浩社長がつとめており、生産拠点である山口県周南市でバイオマス化学産業の立ち上げを計画している。「化石燃料からの転換は待ったなしであり、取り組みを加速させる」(同)という状況になっている。

(2024年7月16日取材)

(トップ画像=富山県で構築を目指す事業モデルの全体イメージ )

『林政ニュース』編集部

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