西川材の木桶で仕込み体験ができるインバウンド向けツアー開始

関東地方 埼玉県

西川材の木桶で仕込み体験ができるインバウンド向けツアー開始

西川材の産地として知られる埼玉県飯能市で、西川材でつくった木桶で仕込み体験などができるインバウンド(訪日外国人観光客)向けツアーがスタートした。

酒蔵巡りなど旅行関連の企画立案や輸出事業を行っている(株)IRIS(イリス、東京都千代田区、宮内菜奈子社長)がプランニングし、同市のやまね酒造(株)(若林福成社長)と、「きまま工房木楽里」を運営する(有)創林(井上淳治社長)が協力して実施している。同ツアーに参加すると、やまね酒造での酒づくりや、きまま工房でのマイ箸づくり、創林の所有山林での伐採などが体験できる。価格は、2泊3日で15万円から。

4月9日には、やまね酒造で同ツアーのお披露目会を行い、同市の町田守弘副市長らが駆けつけた。町田副市長は、「飯能市は2004年に環境省のエコツーリズム推進モデル事業の対象地区に指定され、取り組みを強化してきている。今回の体験ツアーをきっかけに、国内外の方が飯能市を訪れ、地域の活性化につながることを期待している」と述べた。

IRISの宮内社長は、東京大学大学院でイネの研究を行った後、ゴールドマン・サックスで資産運用の営業に4年間従事し、昨年(2022年)7月に同社を設立した。「インバウンド需要が増えている中、日本酒を中心とした地域文化の魅力を伝えていきたい」と話す宮内社長は、「とくにアメリカやフランスなどの富裕層から好感触を得ている」と手応えを口にしている。

「やまね」がいる森を守るために創業しネットワークを広げる

インバウンド向けツアーの拠点となっているやまね酒造は、酒づくりを通じて環境を守ることを目的に2019年に創業した。同社が環境保全の指標としているのが、社名に掲げている「やまね」だ。「やまね」は、体長約10cm前後、体重20〜30gの齧歯類で、1975年に国の天然記念物に指定されている。

「やまねのみのり」、1本1,500円(税込み)

同社が販売している「やまねのみのり」は、創林の所有山林から伐出された高齢級のスギ材でつくられた木桶で仕込まれている。使用している米は県産の無農薬米にこだわり、「やまね」が好むアケビやヤマモモ、ヤマブドウなどからできた米麹などで製造している。

同社は酒類の販売以外に、自然体験ツアーや民泊、酒蔵経営合宿などの事業を手がけているほか、研究者との協働による調査研究活動も行っている。若林社長は、「ツアーをきっかけに様々な人に来てもらい、『やまね』がいる森づくりを広げていきたい」と意気込みを語っている。

(2023年4月9日取材)

(トップ画像=お披露目会で木桶仕込みを体験する(右から)宮内菜奈子・IRIS社長、町田守弘・飯能市副市長、若林福成・やまね酒造社長、関田直子・飯能市議会議員

『林政ニュース』編集部

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