大東建託が「ゼロカーボンハウス青梅」建設 太陽光+木質バイオで再エネ100%を達成

関東地方 東京都 建設

木造賃貸住宅大手の大東建託(株)(東京都港区、竹内啓・代表取締役社長)は、二酸化炭素(CO2)を排出しない「ゼロカーボンハウス青梅」の建設を東京都青梅市内で進めている。9月23日の竣工に先立ち、9月13日に現場見学会が行われた。

「ゼロカーボンハウス青梅」は、木造2×4(ツーバイフォー)工法の2階建てで、延床面積は322.12m2。主な使用樹種はSPF材で、木材使用量は62.93m3。屋根に発電量が33kWh/年の太陽光パネルを設置し、年間電気使用量の約8割を太陽エネルギーで賄う。残りの約2割は木質バイオマス発電所からの買電で補い、再生エネルギー100%を達成する。オール電化も図っており、蓄電設備とエネルギーマネジメントシステムにより、効率的なエネルギー管理を実現する。

久保好孝・森の電力代表取締役

「ゼロカーボンハウス青梅」の施主であり、木質バイオマスエネルギーを供給する森の電力(株)(東京都渋谷区)の久保好孝・代表取締役は、「実証データを取り、再エネ100%の物件を大東建託とともに全国に広げていきたい」と話している。

省エネ基準に加え“建築物の一生”を評価するLCCMもクリア

建築物省エネ法の改正により、2025年度以降に着工するすべての建築物は、断熱性能や省エネ基準に適合することが義務化されるが、「ゼロカーボンハウス青梅」は、さらに先を進んでいる。省エネ基準などだけでなく、建築資材の製造・輸送から施工、改修、解体・廃棄に至る“建築物の一生”に関するCO2排出量をゼロ以下に抑えるLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)の基準もクリアしているからだ。

LCCMでは、建築資材の製造エネルギーも評価対象となる。例えば、木材乾燥に使用するエネルギーを重油から木質バイオマスエネルギーに切り替えると環境負荷の低減に貢献したと評価される。

大東建託の大久保孝洋・技術開発部次長は、「これからの資材調達では、コストだけでなく、環境性能基準を達成する製造プロセスなども重視するようになる」との見方を示しており、木質製品の加工・流通・処理過程を含めてユーザーへの訴求力を高めることが必要な状況になっている。

(2023年9月13日取材)

(トップ画像=「ゼロカーボンハウス青梅」の外観)

『林政ニュース』編集部

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