花粉症データ問題で林野庁室長ら5人処分 調査チーム報告書と再発防止対策も公表

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花粉症データ問題で林野庁室長ら5人処分 調査チーム報告書と再発防止対策も公表

林野庁は4月14日、花粉症特別対策事業の実施効果に関するデータの公表に誤りがあった問題*1で、前造林間伐対策室長(現整備課長)ら5人を訓告や厳重注意などの処分にした。併せて、庁内に設置した「業務データ等調査チーム」(チーム長=飯高悟・林政課長)による報告書と再発防止対策も公表した。

被処分者は、次の5名。いずれも国家公務員法に基づく懲戒処分(注)ではなく、経済的な損失等を伴わない矯正措置。人事院のガイドラインにより、氏名等は公表されていない。
本庁室長(現本庁課長)=訓告
本庁課長補佐(現本庁専門官)及び本庁専門官(現本省専門官)=厳重注意
本庁課長補佐=口頭による厳重注意
本庁課長=口頭による厳重注意
(注)懲戒処分=国家公務員法第82条及び地方公務員法第29条に規定されており、重い順に、①免職(懲戒免職)、②停職、③減給、④戒告(譴責)の4つがある。

【解説】「けじめ 」に必要だったのは反省と忍耐

明確な「けじめ」が問われていた花粉対策事業データ問題に、林野庁が答えを出した。

調査チームの報告書によると、花粉症等アレルギ ー症対策議員連盟(ハクション議連)への説明やホームページなどで、同事業の効果に関するデータの一部のみを取り出し、花粉減少量を誇張して表現していた。同庁は誤りを認め、再発防止対策として、①データの精度を明らかにする、②データを加工して公表または一部のみを公表する場合はその旨を明記する、③関係課・班が情報を共有化し役割分担を明確化する、④データ公表前に当該課の課長または室長の決裁を受ける、⑤林野庁ホームページ運営要領を定める――の5つに取り組むとした。

この問題に関しては、マスコミ各社が林野庁の責任を厳しく追及。2月21日に行われた辻健治・林野庁次長の記者会見は1時間半、4月14日に職員処分などを発表した飯高悟・林政課長の記者会見も45分と異例の長時間になり、データ取り扱いの不備を非難する質問が延々と続いた。

ただし、悪意のあるデータ改ざんや法律違反があったわけではなく、林野庁側はひたすら反省の弁を繰り返すのみ。非難を潔く受け続ける忍耐力が、信頼回復のためには必要だった。

(2006年2月21日取材)

『林政ニュース』編集部

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