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同業他社と競合しないエリアで“足し算方式”により事業拡大
モリショウグループの起源は、現社長・森山和浩氏の先代である森山政美氏が1998年に創業した(有)モリショウ。同社は、リサイクル機械の輸入販売やプラント設計などで事業を始めた。
その後、2004年に木質チップ等を製造する日本フォレスト(旧・(株)九州ウッドマテリアル)、2010年に木質バイオマス発電事業を行う(株)グリーン発電大分、2016年に電力小売りを担う日田グリーン電力(株)(同)を設立。さらに、日本フォレストは、2019年に苗木生産、2020年には森林の経営・管理にも進出し、苗木づくりから電力の販売まで手がける一貫体制を築き上げた。
ここまで一気呵成に事業領域を拡大してきたように映るが、森山社長は、「同業他社とは競合しないエリアで展開してきた」と言い、「取引先とは良好な関係ができている」と冷静に話す。現場で必要とされる仕事を引き受ける“足し算方式”によって、今のモリショウグループが形成されてきた。

グループ再編で経営資源集中、2つの発電所と5つの工場を運営
2020年以降もモリショウグループは拡張を続けている。
2021年には、竹ビジネスを展開してきたバンブーフロンティア(株)(熊本県南関町)*1*2の関連企業である南関バンブーフロンティア(株)と南関バンブーエナジー(株)を事業譲渡によって引き受けた。
そして2024年にグループ企業の再編を行い、グリーン発電大分、南関バンブーフロンティア、南関バンブーエナジーの3社を吸収合併によって日本フォレストの傘下に収めた。
これに伴い、グリーン発電大分は日本フォレスト天瀬発電所、南関バンブーフロンティアと南関バンブーエナジーは南関工場及び南関発電所へとそれぞれ名称変更した。
再編後の同グループは、モリショウの100%子会社として日本フォレストと日田グリーン電力があり、日本フォレストが2つの発電所と5つの工場、育苗施設などを運営する体制になった。
現在は、グループ全体で約80名が勤務している。森山社長は、「再編によって経営資源を集中させ、より専門性の高い事業活動ができるようになった」としている。
年間に約20万tの燃料用チップを取り扱い、取引先にも供給
モリショウグループの中軸を占める木質バイオマス発電事業については、天瀬発電所と南関発電所の2基が稼働中だ。
天瀬発電所の発電規模は約5,700kWで、年間の燃料材使用量は約7万t。2013年にグリーン発電大分として商業運転を始めたときは、西日本エリアで初のFIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)対応型発電所として全国的に注目された。同発電所は、間伐材や林地残材などを主燃料とする蒸気タービン方式を採用しており、現在も約1万世帯分の電力を賄い続けている。また、隣接する園芸ハウスへの熱供給によってイチゴ栽培を支援するなど熱電併給の実績も積み上げてきている。
一方、南関発電所の発電規模は955kW、年間の燃料材使用量は約3万t。解体系廃木材・チップ材を燃料とするストーカ式ボイラにORC(有機ランキンサイクル)熱電供給設備を組み合わせた構成で、熱利用を促進してFITに頼らないエネルギー供給を実証する発電所に位置づけている。
燃料供給に関わる廃材処理では、複合型選別機を使って金属・非鉄金属・小石・ガラスを除去し、木くずの100%リサイクルを実現している。1日当たりの処理能力は、本社工場が602,6t、宇城工場が374,68t、南関工場が148,7t。
また、チップ工場の年間製造量は、天瀬工場が約10万t、中津工場が約3万t。グループ全体で年間約20万tの燃料用チップを取り扱っており、半分はグループ内で消費し、残りは取引先に供給している。

森アグリを新設し苗木生産加速、FIT後を睨んで変革進める
モリショウグループは、約200haの社有林も持っている(所有名義は日本フォレスト)。今後も必要に応じて伐採跡地を購入し、スギ・ヒノキに加えてエリートツリーや早生樹を植栽して、10~20年サイクルで循環利用できる森林づくりを目指している。併せて、J-クレジット制度や生物多様性保全に関する取り組みも進めて、収益源を多角化することを検討している。
森山社長は、「収益サイクルを短縮することで林業が面白いと思う人が増えて欲しい」と期待を込める。この流れを加速するため、今年(2026年)4月には農業法人・森アグリ(株)(諌山和典社長)を設立し、低花粉スギやユーカリ・センダンなど早生樹の苗木を安定供給する体制づくりにも踏み出した。
FITの終了が7年後に迫っており、全国の木質バイオマス発電所はビジネスモデルの変革が求められている。この点は森山社長も十二分に認識しており、「論より証拠。まずは自ら実践して、新たな林業と木質バイオマス利用のあり方を示す」と先を見据えている。
(2026年3月20日取材)
(トップ画像=西日本初のFIT発電所である天瀬発電所、画像提供:モリショウ))
『林政ニュース』編集部
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