森林を含め所有者不明対策強化、相続登記を義務化    

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森林を含めた所有者不明土地対策が強化される。この問題を議論してきた法制審議会(法相の諮問機関)は、2月10日に民法や不動産登記法などの改正案(要綱)を答申。政府は、3月中に改正法案を閣議決定し、今国会中に成立させる方針だ。

法務省の調査によると所有者不明の土地は全国の約2割(2018年度)に上っており、林野庁も全森林の約4分の1が持ち主不明になっていると推計している。人口減少や高齢化の進行により、地方を中心に土地所有意識の低下や「山離れ」に拍車がかかる恐れがあり、政府は関係閣僚会議を設置して総合的な対策づくりを進めている。その一環として、林野庁は2019年4月に施行した森林経営管理法の中に所有者不明森林対策に関する特例措置を盛り込んだ。

相続後3年以内の申請が必要、違反すると過料10万円

法制審答申が打ち出した新たな対策の柱は、相続登記の義務化。今は相続などで所有権が移転しても登記の義務はなく、手続きや税負担などを嫌って申請しないケースがみられる。

そこで不動産登記法を改正し、相続人は土地の取得を知った日から3年以内に登記申請することを義務づける。違反者には、罰則として10万円以下の過料を科す。また、氏名・名称や住所変更についても2年以内の登記を義務化し、手続きを怠ると5万円以下の過料を徴収するようにする。

現状よりも相続人の負担が重くなるので、登記免許税の軽減などの支援策を合わせて導入し、所有者不明土地の発生予防につなげることにしている。

10年分の管理費負担で国庫へ、「管理措置請求制度」の創設は見送り

相続登記の義務化は、森林所有のあり方にも広く影響を及ぼすとみられるが、このほかにも法制審答申は新たな対策を講ずるよう求めている。

その1つは、土地の所有権を国庫に帰属させる制度の創設。相続や遺贈によって土地を取得したが手放したい場合、申請者が10年分の土地管理相当額を負担金として納付すれば国に所有権を移せる。負担金の詳細は政令で規定するが、200m2の国有地(宅地)の10年分の管理費用(柵・看板の設置や草刈り・巡回費等)は80万円程度との参考値が示されている。

また、民法の共有制度を見直し、不明共有者の不動産持分について相当額の金銭を供託すれば取得でき、売却も可能にする仕組みを創設する。

相隣関係の規定も改め、隣接地から越境してきた枝の切除について、催告しても所有者が応じない場合は、越境されている土地の所有者が自ら枝を切り取れるようにする。

なお、法制審の検討過程で浮上していた「管理措置請求制度」の創設は、林業関係者などからの反対意見を踏まえ、導入を見送った。

(2021年2月10日取材)

『林政ニュース』編集部

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