要点解説・林野庁の2026年度当初予算と2025年度補正予算【緑風対談】

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昨年(2025年)末に政府の来年度(2026(令和8)年度)当初予算(案)と今年度(2025(令和7)年度)補正予算が決まりました。その中で、林野庁関係予算のポイントは何か?「緑}と「風」がわかりやすく解説します。

「ここ数年では最大規模」だが、物価高などを勘案すると前年度並み

昨年(2025)12月26日に政府の来年度(2026(令和8)年度)当初予算(案)が決定した。それに先立ち12月16日には今年度(2025(令和7)年度)補正予算が成立し、各種の施策・事業を進める上で必要な財源が固まった*1。その中から林野庁関係予算のポイントを解説していこう。

まず、全体像をみる。林野庁関係の2026年度当初予算概算決定額は3,112億円、前年度当初予算比では1.4%の増。この3,112億円という金額は、2011(平成23)年度以降では最高額になる。
2026年度当初予算の3,112億円に20225年度補正予算の1,419億円を加えた総額は4,532億円で同1.1%の増。当初プラス補正で4,500億円台に乗せたのは、2022(令和4)年度以来。金額面では「ここ数年では最大規模」(林野庁林政課)となった。

そうなのだが、政府全体の2026年度当初予算も過去最大の122兆円に膨らんでおり、林野庁予算だけが突出して伸びているわけではない。物価高などを織り込んでの財政支出拡大であり、実質的には前年度並みの財源が確保されたとみるのが妥当だろう。

一般公共事業も2,800億円の大台に乗せたが、3倍増は遠く…

次に、林野庁関係予算の主軸である一般公共事業(森林整備・治山事業)の仕上がりをみよう。2026年度当初予算に同1.0%増(19億円増)の1,899億円を計上するとともに、 「第1次国土強靭化実施中期計画」(598億円)を含めた2025年度補正予算で863億円を確保したことなどで、合計2,814億円が措置された。

林野公共事業の関係者は、2,600億円という金額を第1目標に据えて予算の獲得に取り組んできている。この目標ラインは、このところ連続してクリアしているが、2,800億円の大台に乗ったのは、2021年度の2,887億円以来になる。十分に合格点の金額を得たと言えるだろう。

ただ、昨年11月19日に東京都内で開かれた「2025 治山・林道のつどい」で、自民党の森林整備・治山事業促進議員連盟会長でもある山口俊一氏は、「諸物価などの値上がりがあり、昨年度と同じ額では同じ事業量を行えない」と述べ、「3割アップを目指すくらいの勢いで取り組みたい」と檄を飛ばしていた*2。さすがにその水準にまでは届いておらず、今後も予算増に向けた手綱を緩めることはできない。ちなみに、17年前の2009(平成21)年度には3,107億円を確保したという実績がある。

そうなると、次の目標額は3,000億円になるのだろうか。その金額を視野に入れるためにも、まずは2,800億円の大台に乗せた財源を有効活用して、林野公共事業の成果と存在感をしっかりと示していかなければならない。
林野庁作成の資料によると、森林整備事業では、森林の集積・集約化に向けた間伐や主伐後の再造林、幹線となる林道の開設・改良、林野火災対策、クマ・シカ等対策などに取り組む方針。また、治山事業では、能登半島における複合災害等の教訓を踏まえた応急対策の強化や、施工性の高い工種・工法の導入促進などを進めることにしている。

非公共事業の中核は「森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策」

林野庁関係予算の非公共事業には、2026年度当初と2025年度補正を合わせて1,384億円が計上された。その中核として推し進めるのは「森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策」だ。2026年度当初予算に前年度当初予算を10億円上回る154億円がつき、TPP対策を織り込んだ2025年度補正予算も同対策の財源になる。

同対策は、非公共関係の様々な助成策をパッケージ化したものだ。その中で筆頭格に位置づけているのは「森林集約・循環成長対策」(予算額は2026年度当初80億円+2025年度補正124億円)。4月に施行される改正森林法の実効性を高めるため、集積・集約化を支援する人材の育成やノウハウの整理・分析など各種の支援メニューを揃えている。 

川下関係で実施するのは「木材等の付加価値向上・需要拡大対策」(同15億円+33億円)。①建築用木材供給・利用強化対策、②木材需要の創出・輸出量強化対策、③「森業」推進プロジェクト──の3本立てで事業展開することにしており、木材利用を通じた温室効果ガス(GHG)排出削減効果の「見える化」や、木材の生産・流通コスト及び取引実態の調査・分析を踏まえた合理的な価格形成の促進などにも取り組む。

集積・集約化やスマート林業など、漏れのない支援メニューを揃える

同対策の一環として、人づくりなどを支援する「森林・林業担い手育成総合対策」(同46億円+21億円)も行う。「緑の雇用」事業による新規就業者の確保・育成を継続するほか、林業大学校で学ぶ研修生らも就業前給付金制度の対象にして支援の幅を広げる。外国人材の受け入れ拡大に向けた条件整備も進めて多様な人材に活躍の場を用意することにしている。

同対策では、このほかにも「スマート林業・DX推進総合対策」(同3億円+7億円)で林業機械の自動化・遠隔操作化や木質系新素材の開発などについて助成し、「森林・山村地域活性化振興対策」(同10億円)で里山林の整備・活用や「半林半X」の活動などを支援する。

同対策以外では、2025年度補正予算で、非公共事業に一部公共事業を加えて「花粉症解決に向けた総合対策」を進めるための経費(56億円)も計上されている。
林野庁予算全体を見渡すと、際立つような新規事項はない。だが、必要な事業は漏れなく揃えている。後は、どう使いこなすかだ。

(2025年12月26日取材)

詠み人知らず

どこの誰かは知らないけれど…聞けないことまで聞いてくる。一体あんたら何者か? いいえ、名乗るほどの者じゃあございません。どうか探さないでおくんなさい。

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