大東建託(株)(東京都港区、小林克満社長)は、独自に開発したCLT工法による木造4階建て賃貸住宅「Forterb(フォルターブ)」の本格販売を始めた。CLTを使って規格化・工業化された中層賃貸住宅を大手ハウスメーカーが供給するのは国内初めて。2月3日に千葉県船橋市内で第1号棟の構造見学会を行った。
大東建託が本格販売開始、オリジナル金物などで施工を合理化
第1号棟は全7戸の集合住宅で、賃貸用が6戸とオーナー(所有者)用が1戸。4階建ての最高高さは13.44m、延床面積は299.12m2、竣工は6月末の予定。構造用の壁材に国産スギを加工したCLTパネル、床材などに集成材と合板を用いており、製品ベースで計120m3の木材を使用している。部材はすべて銘建工業(株)(岡山県真庭市、中島浩一郎社長)が納入した。
壁材のCLTパネルは、厚さ30mmの板材を5枚組み合わせ、大小合わせて約200枚を用いた。2~4tトラックでの効率的な運送を考え、横幅を1.5mまでとし、それ以上のサイズが必要な場合は独自の治具を使って接ぎ合わせるようにした。

また、建設工事の職人不足などに対応するため、オリジナルの内蔵型接合金物を開発し、現場作業の簡素化と省力化を図っている。建方の施工は、1フロア当たり約3日間で完了する。
中継ヤードで物流を効率化、都市部の狭小地でも建設可能
同社は、住宅建設に関わる物流を効率化するため、船橋市内に中継ヤードを設けた。銘建工業から届いた部材も同中継ヤードを経由して、施工現場にジャストインタイムで納入されている。
「Forterb」は、従来から販売している低層の2×4賃貸住宅と同レベルの価格帯で展開していく方針。都市部の狭小地でも建設しやすいことから、新たな顧客層を開拓できるとみている。
同社担当者は、「中層の集合住宅ならば都市部の土地を有効活用できる。今後の事業展開では、RC造とのコスト比較などが焦点になってくるだろう」と話している。なお、第1号棟は、林野庁の補助事業に採択されており、詳細なコスト分析などを行うことにしている。
(2022年2月3日取材)
(トップ画像=「Forterb」の完成イメージ)
『林政ニュース』編集部
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