昨年(2021年)の林産物輸出額が対前年比33%増の570億円に伸び、近年における最高値を記録した。政府は、農林水産物の輸出額を2030年までに5兆円に引き上げる目標を掲げており、今国会で輸出促進法を改正して支援施策を拡充する方針。林産物については、30年までに輸出額を1,660億円に増やす目標が設定されており、重要品目に指定されている合板や製材の海外出荷をテコ入れすることが課題になっている。
林産物輸出額は、トップ画像のように増加してきている。昨年の内訳は、木材が475億円で約8割を占め、木製家具が54億円、特用林産物が41億円となっている。
主力である木材の輸出先トップは中国で221億1,400万円(対前年比30%増)、2位はフィリピンで102億7,200万円(同58%増)、3位は米国で52億5,700万円(同38%増)、以下、韓国(37億2,600万円、同24%増)、台湾(24億4,600万円、同21%増)の順となっている。
品目別では、中国向けを主体とした丸太が210億7,000万円(同29%増)、米国向けフェンス材を中心とする製材が97億8,900万円(同45%増)、フィリピン向けが大半を占める合板が75億2,400万円(同45%増)となっており、依然として丸太輸出のウエイトが高い。
2020年3月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画では、林産物の輸出額を2019年の371億円から2025年には718億円へ倍増させ、2030年には4.5倍の1,660億円に引き上げる目標を設定している。これをクリアするためには、付加価値の高い製品輸出への転換を加速しながら、輸出先国の多角化を進めることが必要となっている。
輸出促進法を改正し木材輸出振興協会などを認定して支援強化
政府は、今国会で輸出促進法(農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律)を改正し、輸出額目標を達成するための施策を強化する方針だ。新たに「農林水産物・食品輸出促進団体」を認定して、輸出先国でのニーズ調査や商談会等への参加、規格の策定などの支援を行う。林産物関係では、日本木材輸出振興協会などが同団体に認定される見通しとなっている。
また、認定を受けた輸出事業者の設備投資や資金繰りなどをサポートするため、(株)日本政策金融公庫法に特例を設けて、輸出対応型の制度資金を創設する。このほか、民間検査機関による輸出証明書の発行を可能にして、事務手続きの迅速化を図ることも予定している。
(2022年3月1日取材)
(トップ画像=林産物輸出額の推移)
『林政ニュース』編集部
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