6.原木・製品輸送に関わる課題【健全で持続可能な原木・製品輸送の発展に向けて】

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6.1.   原木輸送特有の課題

原木・製品輸送に関わる課題は様々ある。特に、原木輸送は林道を走行することなどもあり、製品や一般貨物などと異なった課題を持つ。ここでは、原木輸送特有の課題と、製品輸送との共通課題に分けて整理する。

「原木・製品物流アンケート」では、原木輸送や林道等に関する課題について、次のような回答が寄せられた。

  1. 66.4%が林道の保守管理がされておらず安全性や走行性に難があると回答した。
  2. 62.7%が林道でのすれ違い場所、回転場がなく走行効率が悪いと回答した。
  3. 60.2%が林道(土場含む)を利用していて携帯電話の電波が通じないところがあり、事故・故障時の対応が難しいと回答した。
  4. 50.6%が林道と接続している市町村道の走行に制限があると回答した。
  5. 49.7%が林道が損壊した場合の補修にかかるコストやその責任が明確でないと回答した。
  6. 40.4%が橋の幅や荷重に制限があり走行が難しいと回答した。

また、アンケートの自由記述やヒアリングでは、次のような課題が指摘された。

  1. 接続道路の養生費用の負担が大きい。
  2. 林道が狭小なため輸送効率が上がらない。
  3. 災害後の国有林・公有林の林道の修復が進んでおらず出材が遅くなっている。
  4. 過積載などのコンプライアンス違反がある。
  5. ドライバーの荷役負担が大きい。
  6. 帰り荷を用意するのが難しいため運賃コストが高くなりやすい。
  7. 原木輸送事業者の高齢化・ドライバー不足が進んでいる。
  8. 土場に原木輸送事業者のトラックが来る回数が減り土場に原木が滞留している。
  9. 原木輸送車の架装の遅れがある。

6.2.   原木・製品輸送共通の課題

「原木・製品物流アンケート」では原木・製品輸送に関する共通の課題について、次のような回答が寄せられた。

  1. 原木・製品ともに最も多かったのが、輸送コストの価格転嫁が難しいという回答であり、No.1では47.5%、No.2は65.5%となっている。

次いで、回答の多かった課題は、次のようになっている。

  1. ドライバーの確保ができない(No.1=33.3%、No.2=21.8%)。
  2. 繁忙期と閑散期の波が大きい(No.1=27.5%、No.2=14.9%)。
  3. 車両の確保が難しい(No.1=26.5%、No.2=34.5%)。
  4. 委託先から運賃の値上げを要請されている(No.1=15.4%、No.2=29.9%)。

このほかに、次のような回答もあった。

  1. 空荷走行や未稼働の時間が長い。
  2. 委託先が確保できない。
  3. 輸送先の待機時間。検知時間が長い。

また、自由記述やヒアリング調査では次のような回答があった。

  1. 車両の調達コストが1.5~2倍近くになった。
  2. 燃料費の高騰。
  3. 内航船の手配が難しくなった。

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(株)日本林業調査会

1954年創業。「林政ニュース」の編集・運営・発行をはじめ、森と木と人にかかわる専門書籍の発刊を行っている。

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