京都大学(京都市、湊長博総長)と大手化学品メーカーの(株)ダイセル(大阪市、小河義美社長)は、木材由来のバイオマス製品に関する研究開発を加速化するため、10月8日に包括連携協定を締結した。両者は2017年から共同研究を行っているが、体制を大幅に拡充して新産業創出へのピッチを早めることにした。協定の期間は2030年3月まで。

協定書を取り交わしたのは、京大の大学院農学研究科、同人間・環境学研究科、化学研究所、エネルギー理工学研究所、生存圏研究所の5部局とダイセルのリサーチセンター。協定に基づいて人材交流などを活発化させるとともに、京大宇治キャンパス(京都府宇治市)に共同研究の拠点となる「バイオマスプロダクトツリー産学共同研究部門」を新設する。
共同研究のメインターゲットに位置づけているのは、ダイセルの主力製品である酢酸セルロースの効率的な製造手法の開発。木材パルプからつくられる酢酸セルロースは、液晶パネルの保護フィルムや眼鏡フレーム、煙草フィルターなどの原料として幅広く利用されている。ただし、木材などの天然高分子は溶けにくく、製造過程で多くのエネルギーを消費することがネックになっている。
共同研究では、木材を細かく粉砕し、ギ酸などの薬品を用いることで、常温常圧で溶解させる技術の確立を目指す。成功すれば、他の木材成分であるヘミセルロースやリグニンの利用にも応用でき、脱炭素社会にふさわしい高機能バイオマス製品の開発につながると期待されている。
(2021年10月8日取材)
(トップ画像=協定を結んだ京大の5部局とダイセルの関係者)
『林政ニュース』編集部
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