林業人材×異業種人材でスタートアップ企業の創出・拡大を目指す「SUSTAINABLE FOREST ACTION2022」(略称「SFA」)のデモデイ(成果報告・審査会)が11月5日に東京都内で開催された。アクセラレータ部門(以下、「アクセラ部門」と略)」とインキュベーション部門(以下、「インキュ部門」と略)」に分かれて計6チーム(エントリー時点では7チーム)が事業アイディアを競い、「建築VRで生産者から消費者まで繋ぐ空間価値向上事業」と「林地残材を使ったオーダー住宅/リノベ向け内装材事業」が優勝した(表参照)。
「アクセラ部門」の「建築VRで生産者から消費者まで繋ぐ空間価値向上事業」は、投資対象として評価され、賞金100万円が贈られた。同事業は、(株)ジオクリエイツ(東京都港区)が提供する建築設計士向けVR(仮想現実)サービス「ToPolog」をベースに、森林や製材所のVR化や、木質空間での感情を推定するAI(人工知能)の活用を進めるもの。審査員は、「このサービスは企業が木質化を決める最後の一押しになる。投資対象という観点ではトップ」とコメントし、同社の本田司社長は、「今後も山側と建築側がつながるようなサービスを開発していきたい」と意気込みを語った。

「インキュ部門」で優勝した「林地残材を使ったオーダー住宅/リノベ向け内装材事業」は、タンコロ(短材)を加工し、寄せ木細工のような模様のパネル型内装材を製造・販売する。チームリーダーの山本万優氏は(株)リクルート出身で、11月中に「タンコロ(株)」(仮称)を設立する準備を進めている。
「強みを明確にしたプレゼンを」、2023年度から民間資金で運営
デモデイでは、関係者以外にメーカーや商社、投資家などの姿が目立った。会場となった「CICTOKYO」(東京都港区)は、日本で最もスタートアップ企業が集まるシェアオフィスとして知られる。運営主体であるCICJapan合同会社の名倉勝・ジェネラルマネージャーは、プレゼンを見て、「自分達ならではの強みがわかりづらかった。強みを活かして、どうサバイブして(生き残って)いくかという戦略を明確にし、競争力がわからないと投資家は納得できない」と課題を指摘した。主催した(株)Spero(東京都目黒区)の高橋ひかり・代表取締役CEOは、「今回の審査ではエクイティ投資(株式発行による資金調達)の対象になるか、市場性と成長性の見込みがあるかがポイントだった。来年度からはSFA自体を民間資金で運営する」と話している。
(2022年11月5日取材)
『林政ニュース』編集部
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