大分県日田市の日田商工会議所(瀬戸亨一郎会頭)は、拠点ビルの日田商工会館を木造で建て替えるプロジェクトを進めている。
設計監理者を全国から募り、公開プレゼンテーションによって審査・選定し、日田市(椋野美智子市長)とは建築物木材利用促進協定を締結して地元産の「日田材」を活用することを申し合わせた。
全国的にも注目度の高い新会館は、2028年度末に完成する予定だ。
44社の中からアルセッド建築研究所を選定、2028年度末に完成へ
鉄筋4階建ての現会館は、建築してから60年が経過し、老朽化が進んでいるため建て替えることを決めた。
新会館は、林業地・日田のシンボル施設とすることとし、有識者で構成する審査委員会を設置して、設計監理者を広く募集したところ、予想を上回る44社の応募があった。その中から5社を選定し、6月17日に公開プレゼンテーションを行ってオープンな形で各社からの提案を審査し、(株)アルセッド建築研究所(東京都渋谷区、三井所清典所長)に設計監理業務を委託することを決めた。
同社の提案によると、新会館は木造2階建てで、敷地面積は約2,300m2、延床面積は約660m2。①開かれた商工会議所、②木のランドマーク、③コミュニティ・ハブ──の3つをテーマとし、会員や市民だけでなくツーリストなど多様な人々が交流し、新たな発信の場となる拠点として整備する。通りに面して大空間の「日田ひろば(大会議室)」を設け、続けてインフォギャラリーゾーンとオフィスゾーンを配置して、ゾーン間の連携がスムーズに図れるようにする。
建築にあたっては、地元の大工や工務店が手がけやすい製材品や構法などを採用する。具体的には、製作金物や特殊な部材を用いない在来軸組工法で建てることを計画しており、普及性の高い中大規模木造のモデルになることを目指す。全国的な課題である大径材の活用にも取り組み、芯去り2丁取りや6m芯持ち製材、準耐火落とし込み板壁などを取り入れる。また、地元の製材所の特性に配慮して構造材の部材寸法や仕様を定め、コストダウンも図る。
審査委員会の講評では、「耐火・防火面の課題、構造面の課題及び省エネ関連の課題等の解決をはじめ、当該地域特有の課題ともいえる水害対策にも解決策を提示した」とされ、「本来の商工会議所機能に加え、一般市民と観光客との活発な交流促進や日田の魅力発信を見据えた魅力的な提案となっている」とも評価された。
日田市と「日田材の利用促進に関する協定」を締結、連携を強化
新会館の建設に本格的に着手した日田商工会議所は、日田市との間で「日田材の利用促進に関する建築物木材利用促進協定」を7月23日に結んだ。

協定の骨子は、①建て替え予定の商工会館において、構造材や内外装材等に地域材である「日田材」を活用し、「木のまち」を象徴する建築物とする、②一般流通材の活用により低コスト化を図り、非住宅における木造化・木質化の普及モデルとする、③施設利用者や施設関係者等に対して、木材利用の意義やメリット等について積極的に情報発信する──の3つで、日田市は、利用可能な補助事業等の情報提供や定期的な意見交換などで協力する。
日田市が民間企業と同様の協定を取り交わしたのは、昨年(2025年)10月の(株)アールシーコア(東京都渋谷区、壽松木康晴社長)*1に続き2件目となった。
(2026年6月17日・7月23日取材)
(トップ画像=「日田ひろば」の内観イメージ)
『林政ニュース』編集部
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