生物多様性の保全と回復を目指して世界のリーダーが一堂に会する国際会議「グローバル・ネイチャーポジティブ・サミット2026」が7月14・15日に熊本県熊本市の熊本城ホールで開催された。
同サミットは、2022年の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で196か国が合意した「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」の目標達成に向けて、2024年にオーストラリアのシドニーで初めて実施され、今回が2回目。生物多様性に関する大規模な国際会議が日本で行われたのは、2010年に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)以来16年ぶりとなった。
27か国・地域の関係者が参加し、「熊本宣言」を採択
熊本市で開催された第2回サミットは、ネイチャーポジティブ・イニシアチブ(NPI)と国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)が主催し、27か国・地域の関係者が参加した。2日間で約2,800人が来場し、主に企業・金融と地方自治体に焦点を当てた議論が行われた。
最終日(7月15日)には、ネイチャーポジティブ(自然再興)に取り組むことはコストではなく持続可能な成長への投資機会であるとする「熊本宣言」を採択し、85の企業・団体が賛同を表明した。
日本の取り組みや生態系サービスの評価手法などを伝える
ネイチャーポジティブを達成するにあたっては、森林を適切に取り扱うことが世界共通の課題となっている。このため林野庁は、同サミットの会場内でサイドイベントを開催し、自治体や企業等による森林の整備・保全や生態系サービスを評価する手法の開発などを紹介するとともに、有識者を交えたパネルディスカッションを行った。
この中で林野庁の谷村栄二次長は、日本政府として新しい森林・林業基本計画を6月に閣議決定し、多様な森林づくりや資源の循環利用に注力していることを説明した。
また、事例発表では、世界自然遺産・屋久島における国有林と民有林が一体となった順応的管理や、熊本地域における森林の整備を通じた地下水の涵養、2023年に発足した国際団体ISFC(International Sustainable Forestry Coalition)による森林生態系サービスの定量評価の開発に向けた取り組みなどが紹介された。
パネルディスカッションでは、森林がもたらす生態系サービスの価値を科学的に評価・可視化し、企業の経営判断や消費者の行動変容につなげることの重要性が強調された。

同サミットと同時開催された展示会「NATURE TECU!」にも林野庁のブースを設け、林業を通じた生物多様性保全や建築物に木材を使用する意義などについてパネル展示等を併用して来場者に伝えた。
谷村栄二・林野庁次長の話「2日間のサミットを通じて、民間企業などが森林・林業問題に強い関心を持ち、投資意欲も高いことを実感した。世界的に新しいプレーヤーが参入してきており、従来からの関係者が積極的にアプローチし、提案をしていくことが益々重要になっている」
(2026年7月14・15日取材)
(トップ画像=サイドイベントで日本の取り組みなどを伝えた、画像提供:林野庁)
『林政ニュース』編集部
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