年間500台売れる丸太スツールが海外でも好評、「MORITO」を展開
森庄銘木産業のオリジナル家具ブランド「MORITO」は、「森と暮らしを繋ぐ」をコンセプトに、磨き丸太の技術を活かした製品を中心に展開している。
看板商品は、吉野スギを使った磨き丸太の椅子「森の丸太スツール」(1万6,500円、税込)。サイズは、高さ42cm、直径24〜30cm、重さ8〜20kgで、表面の光沢と滑らかな手触りが特長だ。年間500台以上を出荷しており、国内とシンガポールで日本製家具を取り扱う「Hommage Lifestyle Pte Ltd」を通じた販売が主力となっている。また、ふるさと納税や個人客への小売りも好調だ。森本専務は、「国内外の住宅だけではなく図書館などの公共施設にも導入されており今後も力を入れていきたい」と手応えを語る。
高級シェルフ(オープンな収納家具)の「shell×shelf」(88万円、同)も、企業の応接室やタワーマンションの住人などが購入しており、高価格・高品質のニーズを確実にとらえている。
このほかにも「MORITO」には、テーブルやポールハンガーなど数多くの製品群がある。

デジタルマーケティングを徹底、“山守業”と“地域商社”を両立
森庄銘木産業の従業員数は14名、年間売上高は約4億円。森本専務が家業に戻ってからわずか5年で、事業規模がおよそ3〜4倍に拡大した。
成長のエンジンとなっているのは、徹底したデジタルマーケティングだ。画像共有SNS「Instagram」では、「森スタグラム」の通称で磨き丸太の製造工程や伐採現場などを発信し続けており、3万8,000人のフォロワーを獲得している。また、設計士や施主などを対象に実施している森林・木工体験ツアー「森庄ツアー」は、毎回満員になる人気ぶりだ。
顧客や取引先などとの直接的なつながりを重視して商品開発や販路拡大に取り組んできた結果、同社が伐り出すスギ丸太の平均販売価格はm3当たり2万円と全国平均(1万円強)の約2倍を実現している。
宇陀市から森林境界明確化事業を受託するなど地域からの信頼も厚く、管理面積は5年で1.7倍ほど増え約350haに拡大しており、間伐主体で年間に約7,000m3の素材生産を行っている。

2027年の創業100年に向けて、森本専務は、「地域の森林を経営管理する“山守業”と、丸太や木材を活かしきる“地域商社”の両立を図りたい」と言う。
4月には、教員だった妻の優子さんが入社し、森林環境教育や木育に関する活動も本格化してきた。「これからも地域や多くの人を巻き込んで『森と暮らし』を繋げていく」と、森本専務は前を向いている。

(2025年8月20日取材)
(トップ画像=「森の丸太スツール」(手前)と「shell×shelf」(奥))
『林政ニュース』編集部
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