群馬県フォレスター等民国連携推進連絡会(略称「ぐんまフォレスター連絡会」、会長=野畑直城・群馬森林管理署長)は、5月28日に「デジタル林業のフル活用で林業イノベーション」をテーマにした技術交流会を開催し、65名が参加した。
2021年3月に発足した同連絡会は、継続して実践的な技術交流会を行ってきている。今回は、国有林の伐採現場で稼働中のICTハーベスタをメインに据えてデジタル林業の可能性を現場目線で検証した。
使用したICTハーベスタは、日立建機日本(株)(埼玉県草加市)が国内用に開発した最新マシンで、三山工業(株)(同)が所有し、国有林の伐出事業で使用している。ICT機器を備え実働中の高性能林業機械を現場で用いた技術交流会は、「全国で初」(同連絡会)となった。
当日は、午前中にみどり市厚生会館で座学を行い、日本森林技術協会ICT林業推進室の西原和也氏が講演をした上で、地域林業を取り巻く現状と課題を「『これからの林業』構想シート」にとりまとめた。また、機械導入の際に利用できる支援制度などを網羅した冊子『お役立ちガイド』を参加者に配布して、現地検討に備えた。

午後は、桐生市内の国有林で、ICTハーベスタの稼働状況を視察し、需要ニーズに基づいたデータを活用して採材を自動化し、幹1本の価格が最大になるよう自動判別できることや、ロングアームを使って狭い場所や遠くの立木も効率よく伐採できることを確認した。
現地会場には、丸太を積み重ねた椪積も設置し、画像を撮るだけでデータ管理ができる木材検知ソフトの操作性なども体験できるようにした。
同連絡会の事務局は、「3K(きつい・危険・高コスト)林業から脱却するには、目覚ましい発展を遂げているデジタル技術を取り込むことが不可欠だ。最高水準のスペックを備えた高性能林業機械の能率性・効率性・労働安全性を体感することで、関係者の問題意識を共有することができた」と話している。
(2025年5月28日取材)
(トップ画像=国有林の伐出現場で最新のICTハーベスタの性能を検証した)
『林政ニュース』編集部
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