森林づくりの新たな担い手を育成する「かごしま林業大学校」が開校した。
4月10日に鹿児島市の鹿児島大学で塩田康一知事や林野庁の眞城英一・国有林野部長らが出席して開校式を行い、18歳から53歳までの13名が第1期生として入学した。同校は、いわゆる「林業大学校」としては、全国で29校目となる。
同県内の林業就業者数は緩やかな減少傾向で推移しており、20211年度は1,407名と10年前よりも約2割減となっている。
このトレンドを反転させるべく、同県は2023年9月に「林業担い手の確保・育成に係る施策の方針」を決定し、同年12月に「林業大学校の設置に係る基本計画」をとりまとめた。
同計画に基づいて開校への準備を進め、今年(2025年)3月には同校と鹿児島大学農学部が連携協定を締結し、開校後の円滑な運営や研修内容の拡充などで協力していくことを申し合わせた。
鹿児島大学らがサポートし、即戦力の養成を目指す
「かごしま林業大学校」の研修期間は1年間で、即戦力の育成を主眼に、実習を重視し、資格取得や就業体験も交えてカリキュラムを編成している。研修拠点は、森の研修館かごしま(姶良市)と鹿児島大学農学部附属高隈演習林(垂水市)の2か所に置いている。
カリキュラムの主な特長は、①鹿児島大学との連携による最新の研究成果に基づく実践的な研修・ICT機器を活用した研修、②県の地域特性を踏まえた架線集材、竹材・薪・枝物の生産にフォーカスした研修、③ドローンやGNSS、木材検収システムなどスマート林業に対応した研修──の3つ。
また、4日間×3回の就業体験(インターンシップ)を通じて研修生と林業事業体等とのマッチングを進めることにしている。
同校の受講料は年額11万8,800円としているが、研修修了後1年以内に林業分野に就職する場合は、国の「緑の青年就業準備給付金制度」が利用でき、年間最大141万9,000円の給付金が受けられる。
同校の開校にあたって、約140の関係者らで構成するサポートチームが編成されている。
開校式に出席した塩田知事は、「これからの本県の林業をけん引する人材となることを期待しています」と式辞を述べた。
(2025年4月10日取材)
『林政ニュース』編集部
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