米国のトランプ大統領が打ち出した新たな関税政策が世界経済に混乱を巻き起こしている。日本の林業・木材産業は、現段階では“直撃”を免れてはいるものの、予測不能なトランプ政権の貿易政策に振り回される状況が続いている。
トランプ大統領は4月2日に独自の関税政策を発表し、4月5日から世界各国一律に現行税率プラス10%の追加関税を賦課するとともに、4月9日から57の国・地域に対して相互関税をかけるとし、日本については現行税率プラス24%の追加関税を上乗せすると表明した。
だが、上乗せ関税については発動直後に90日間停止すると突然方針転換し、当面は10%の追加関税を課すだけで様子見の局面となっている。
保護主義的スタンスを強める米国、貿易戦争の“飛び火”にも警戒
日本の木材(丸太、製材、合板、チップ・ペレット等、HSコード4401-4413)は、トランプ政権が打ち出した相互関税の適用外となっており、現行税率が維持されている。
一方、構造用集成材、CLT、木製建具、木製食器、寄木細工/装飾木箱、その他木製品等(同4414-4421)は相互関税が適用されている(トップ画像参照)。
日本から米国に輸出している木材製品の主力であるスギフェンス材は相互関税の適用外であり、現時点で目立った“実害”は生じていない。
ただし、米国は3月1日に発表した大統領令で、林産物の輸入超過が国家安全保障に脅威を与えており、これを緩和するための関税措置や輸出制限などの対応策について調査を進めるとの方針を示した。また、米国木材の増産に関する大統領令も発するなど、林業・木材産業に関する保護主義的スタンスを鮮明にしている。
唐突で一方的なトランプ大統領の関税政策によって、中国やカナダなどとの貿易戦争が激化しており、その“飛び火”が日本の林業・木材産業に悪影響を及ぼすことも懸念されている。
(2025年4月14日取材)
(トップ画像=日本と米国における木材貿易の概要)

『林政ニュース』編集部
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