植栽地をユンボで耕し、肥料の牛ふんを2t車40台分も撒く
熊本空港から車で約1時間。宇城市の現場に着くと、センダン林の所有者であり、地元で土木建設業を営む(株)奥村建設の奥村隆雄会長が待っていた。
直ちに、2年で樹高約10mになったというセンダン林へ向かった。広さは35m×60m、傾斜はなだらかだ。足を踏み入れるとフカフカしており、よく耕された畑のよう。その理由を奥村会長に尋ねると、「ユンボで耕し、肥料を入れているからだ」との答えが返ってきた。肥料は周囲の酪農家から提供された牛ふんで、2t車40台分も撒いたという。
センダンは、いわゆる「肥料やけ」が生じない。施肥が有効な樹種であり、奥村会長は、「2年でこれだけ伸びれば、以降は芽かきなどはせずに太らせながら間伐し、10年たったら主伐できる」と口にした。
水はけをよくし、獣害対策に竹を利用、「工夫のしがいがある」
奥村会長は、約3年前からセンダンを植え、育てている。県がセンダン林の造成に乗り出したときに、林業研究グループから苗木や防獣ネットの提供を受けてスタートした。
まず、23m×60mのスペースに75本のセンダンを植えた。これまでに太いものは直径約10cmになり、一部は間伐して集成材のテーブルに加工し、収入につながった。
その後もセンダンの植栽を続け、現在は4か所でセンダン林を育てている。
1年前に植えた林地は、他の林地と比べて低いところにあり、川も近い。暗渠付近に植えたセンダンが根腐れし枯れてしまった反省をもとに、ユンボで畝をつくってから植えた。植え付ける箇所も、畝の中央ではなく、水はけのよいところを選んだ。

奥村会長は、「1つ1つ工夫を重ねている。センダンは、成長が早く、反応もいいので、工夫のしがいがある」と話す。
センダンの芽かきでは、春前の芽が吹く前に手で摘むようにしている。こうすることで、従来よりも手入れ期間を長く確保でき、傷痕が残らないようになった。

奥村会長は、獣害対策でも新しい試みを行っている。最も新しいセンダン林では、防獣ネットの代わりに、竹でできた保護用の筒を用いている。
竹は、隣接する所有竹林で採取し、コスト削減を図っている。「これも実験。うまくいけば獣害対策の費用を大幅に削減できる」と期待を込めている。
(2025年1月30日取材)
(トップ画像=2年で樹高が約10mに伸びたセンダン、この林地には約260本を植えている)

『林政ニュース』編集部
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