四倉工場が生産する2×4材を関東・東北エリアで使用
木環の杜は、住友林業(株)(東京都千代田区、光吉敏郎社長)の子会社として一昨年(2023年)11月に設立。昨年(2024年)の夏からいわき市の四倉中核工業団地で新工場(四倉工場)の建設を進めており、来年(2026年)3月の稼働開始を目指している。
大東建託は、賃貸住宅の大半を2×4工法で建設しており、新工場から国産の2×4材(ディメンション材)を調達して、関東や東北エリアの物件などで使用する。新工場の年間原木消費量は11万m3を計画しており、2×4材の生産量では国内最大規模となる。

住友林業と広範な連携で基本合意、北米市場の開拓などを睨む
大東建託と住友林業は2月13日に、国産材の利活用など幅広い分野で業務提携することで基本合意した。木環の杜への出資はその第1弾と位置づけており、今後は、北米など海外での不動産関連事業や資材・製材品の加工事業、国内の住宅・非住宅建築分野におけるCLTやLVLなどマスティンバーの利用、木質バイオマスエネルギー事業などでも連携を深めていくことにしている。
大東建託は昨年、集合住宅の賃貸管理事業で米国に進出し、住友林業も収益の約8割を米国で稼ぎ出していることから、海外における両社のタイアップも進むとみられる。
「RE100」達成へ東日本にも発電拠点、今後の課題は燃料材の確保
大東建託が完全子会社化する一戸フォレストパワーは、リサイクル事業などを行っている(株)フジコー(千葉県白井市、小林直人社長)の100%出資子会社で、発電出力は6,250kW。燃料には、林業事業体や森林組合などから調達する未利用木材や製材端材を使用している。
大東建託は、フジコーから一戸フォレストパワーの全株式を買い取り、4月頃からグループ会社として発電所を運営する。年間送電量は約4,500万kWh(一般家庭約1万800世帯分)を見込んでおり、東日本エリアのグループ事業所や管理物件などで使用する。
大東建託は、国際的なイニシアティブ「RE100」に加盟し、2040年までに事業活動で消費する電力を100%自社発電の再生可能エネルギーで賄う目標を設定している。すでに、兵庫県朝来市の朝来バイオマス発電所を買収してグループの傘下に収め、西日本エリアの電力自給に取り組んでいる*3。
東日本と西日本に木質バイオマス発電事業の拠点ができることを踏まえ、大東建託の担当者は、「(国の支援がある)FIT/FIPがなくなっても、2つの発電所の運営は続けたい」と話している。発電事業を長期的に継続するためには、国産の燃料材を安定的に確保する仕組みづくりが課題になるとみられる。
(2025年2月13・17日取材)
(トップ画像=一戸バイオパワーの木質バイオマス発電所、画像提供:大東建託(株)))

『林政ニュース』編集部
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