民有林を対象に「立木市場」(立木取引システム)*1の創設を目指す取り組みが新たなステージに入る。国(林野庁)の補助事業を活用して進めてきた売買マッチングシステムの基本設計などが完了し、来年度(2025年度)からインターネット上で民間同士の取引が本格的に始まる。山元立木価格の決定過程を透明化する従来にない試みがいよいよ実行段階に移る。
「立木市場」に関する検討を進めてきた林業機械化協会(島田泰助会長)と国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会(前田直登会長)は、1月31日に東京都内で有識者委員会(立花敏座長)を開き、これまでの取り組み成果などを総括した。
事務局は、昨年(2024年)12月2日にインターネット上に「立木市場」のサイトを公開し、これまでに約3,000回のアクセスがあったと報告。すでに、同サイトには、高知県仁淀川町の町有林(2.14ha、1,333m3)と福島県古殿町の町有林(1.77ha、939m3)の2物件が登録(アップ)されており、m3当たりの最低売買価格は仁淀川町が9,422円、古殿町が1万4,000円と設定している。
現在、再造林経費の扱いに関する法律的な担保措置や銀行口座への信託方式、「持続可能な木材」であることを証明するマークの条件や管理方法などに関する“詰め”の検討作業を行っている。
島田会長「ここにきて風向きが変わってきた」─周知・普及に全力
「立木市場」の創設は、2022年6月に中央7団体が「共同行動宣言2022」*2で提言した再造林可能な山元立木価格を実現する具体的な“答え”となる。
これまで検討作業を主導してきた島田会長(元林野庁長官)は、1月31日の有識者委員会で挨拶し、「当初は『そんなものが本当にできるのか』と周囲の反応は低調だったが、ここにきて風向きが変わってきた」と述べ、持続可能性を担保した国産材へのニーズが着実に高まっているとの認識を示した。

来年度から「立木市場」を独り立ちさせていくためには、登録物件と取引数を増やして業界内外での認知度を高めていくことが欠かせない。事務局は、「あらゆる手段や機会を活かして周知・普及していきたい」と話している。
(2025年1月31日取材)

『林政ニュース』編集部
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