「フレンドシップ造林」の第1号が白鷹町でスタート

山形県白鷹町の認可地縁団体・鮎貝自彊会(あゆかいじきょうかい、後藤敬一郎・理事長)*1は、民間企業6社とともに有限責任事業組合(LLP)「鮎貝きずなの森」を設立した(1月29日に発表)。民間ベースで分収林契約に基づいて持続的な林業を行う「フレンドシップ造林」の推進母体となる。

鮎貝自彊会と民間6社が「鮎貝きずなの森」を設立

「フレンドシップ造林」は、同町とデロイト トーマツ グループ(東京都千代田区)及び物林(株)(東京都江東区)が中心となり、ニュージーランドのパートナーシップ造林などを参考にして構想を練ってきたもので*2*3、民間からの出資を得て具体的な事業に着手するのは「鮎貝きずなの森」が初めてのケースとなる。

「鮎貝きずなの森」は、発起人である鮎貝自彊会のほか、(株)アドバンテッジパートナーズ (東京都港区)、岩堀建設工業(株) (埼玉県川越市)、JKホールディングス(株) (東京都江東区)、新電力開発(株) (東京都港区)、那須建設(株) (山形県長井市)、物林の6社が出資して発足した。

これから同町北部にある鮎貝自彊会と同町との分収林契約地(2か所、計約74ha)を対象に、既存契約を一旦解除した上で、鮎貝自彊会と6社が契約を結び直し、森林施業などを地元のおきたま林業(株)に委託するかたちで主伐・再造林などを進める。自治体などが関与せずに民間同士の分収林契約をベースに林業経営を行うのは全国的にも例がない。

分収割合は自彊会3割、民間6社7割、ガバナンス委員会を設置

伐採収益の分配(分収割合)は鮎貝自彊会が3割、民間6社が7割を想定している。現在の林地価格や材価を前提にすると森林所有者の取り分は1割程度に抑えられる傾向にあるが、鮎貝自彊会が現場に根づいた活動を継続していることを勘案して、分収割合は3割とする。

「フレンドシップ造林」のスキーム

「フレンドシップ造林」の進捗状況を客観的に評価して、事業の円滑な推進を図るため、地域ガバナンス委員会を設置することも予定している。同委員会には、自治体関係者や有識者も加わり、広い見地からプロジェクト全体を後押ししていくことにしている。

(2025年1月29日取材)

『林政ニュース』編集部

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