岐阜県飛騨市の「広葉樹活用推進コンソーシアム」は、広葉樹用人工乾燥機の試験機を導入し、3月中旬から運用を始めた。今後、実用性などの検証を重ね、2024年度には完成機を開発して稼働させる計画だ。
「広葉樹のまちづくり」に取り組んでいる同市には、豊富な広葉樹資源のほか、製材所、木工・家具メーカー、職人などが揃っているが、人工乾燥機はなかった。様々な注文に対応した広葉樹製品を開発・供給していくためには、乾燥工程を効率化することが不可欠なため、同コンソーシアムのメンバーである飛騨産業(株)(岐阜県高山市、岡田明子社長)が開発した人工乾燥機のノウハウ等をベースに改良を加えていくことにした。
完成機の開発を中心的に担うのは、同市の機械メーカー・(株)メカトロニクス(駒卓弥社長)で、飛騨産業などが協力する。実用化できれば、伐採から製材、乾燥までの期間が現状の約1年から約3か月に短縮できる見込み。これにより、市内の広葉樹資源を立木段階から供給可能な“在庫”とみなすことが可能になる。同市内の(株)飛騨の森でクマは踊る(岩岡孝太郎・松本剛共同代表)が中核となって、設計士やクリエイターなどに立木買いから参画してもらう仕組みの構築にも取り組むことにしている。
同市の竹田慎二・林業振興課長は、「短期乾燥技術と『森と直接つながる仕組み』をセットで動かし、当市独自のバリューチェーンを目指したい」と話している。
なお、同市の「広葉樹活用コンシェルジュ」も販路の拡大に向けて営業活動を活発化させており、昨年(2021年)からは大手家具メーカー・カリモク家具(株)(愛知県東浦町、加藤正俊社長)との取り引きも始まっている。
(2022年4月2日取材)
(トップ画像=広葉樹用人工乾燥機の試験機)

『林政ニュース』編集部
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