全国初!「カラマツエリートツリー特定母樹展示林」が誕生

長野県 苗木生産・育種

全国初!「カラマツエリートツリー特定母樹展示林」が誕生

全国初となるカラマツエリートツリー特定母樹の展示林(採種園)が長野県伊那市に設定され、4月12日に植樹セレモニーが行われた。中部森林管理局、長野県、伊那市、林木育種センターが3月31日に締結した「カラマツエリートツリー特定母樹の円滑な普及に向けた覚書」に基づく取り組みの一環。

同展示林は、伊那市の「ますみヶ丘市民の森」に設けられ、エリートツリーの特定母樹31本とともに、比較対照として第1世代の精英樹30本、実生コンテナ苗30本を植栽した。今後、展示林の手入れを続けながら、14年目から種子、17年目から苗木を配布する予定。

エリートツリーは、第1世代の精英樹(成長や形質等のよい個体)をかけ合わせた個体で、成長や品質に一段と優れ、“次代の森林づくり”のエースに位置づけられている。

協定を結んだ4者は、それぞれの役割を活かしながらカラマツエリートツリー特定母樹の育成に協力していく方針。展示林用の苗木供給した育種センターは全般的な技術指導、中部局は展示林での施業の実証・種子の供給、長野県は展示林における技術指導・種子の供給、伊那市は展示林の整備などを担う。

長野県は、昨年(2021年)7月に「特定間伐等及び特定母樹の増殖の実施の促進に関する基本方針」を定め、2030年までに県内4か所で約800本に及ぶカラマツ特定母樹の採種園を整備する計画を打ち出している。また、「50年の森林(もり)ビジョン」を策定している伊那市は、新たな林業振興策を検討する中で林木育種センターとの連携が進み、展示林の設定につながった。

なお、来年春には、中部局の東信森林管理署管内に2か所目の「カラマツエリートツリー特定母樹展示林」を設定することにしている。

(2022年4月12日取材)

(トップ画像=植樹セレモニーに出席した(左から)吉沢正・長野県林務部長、白鳥孝・伊那市長、上練三・中部森林管理局長、今泉裕治・林木育種センター所長と、協力事業者(寄付金出資者)の幸島宏邦・伸和コントロールズ(株)代表取締役)

『林政ニュース』編集部

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