生しいたけ「国産」から海外植菌地を除外

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生しいたけ「国産」から海外植菌地を除外

政府は、生しいたけの原産地について「国産」と表示できる範囲を絞り込む基準の見直しを3月30日付けで行った。これまでは中国など海外で育てて輸入したものでも日本で収穫すれば「国産」と表示できていたが、消費段階での混同を避けるため、国産品と輸入品の区分を明確化した。

中国などからの輸入菌床との違いを明確化

消費者庁が3月30日付けで「食品表示基準Q&A」を改正し、生しいたけについては、原木や培地に種菌を植え付けた「植菌地」を原産地として表示することを義務化した。これにより、中国で植菌・培養された菌床を日本に輸入して収穫した際の原産地表示は「中国」となる。これまでは「国産」と表示することが可能だった。

生しいたけの生産者らは、9月末までに新しい表示ルールに対応することが必要となる(しいたけ加工食品は来年(2023年)3月末まで)。なお、国内で種菌を植え付けた場合は、都道府県・市町村名や一般に知られている地名を表示することもできる。

【解説】積年の懸念を「義務化」で解消、フェアな市場形成に期待感

しいたけの産地表示を巡る議論は、中国からの輸入菌床が増え出した2008年頃から続けられてきた。

国内産のしいたけは、菌床にクヌギやコナラ、シイノキなどの広葉樹のおが粉を使用している。一方、中国では、養蚕や果樹栽培に使ったクワの木やりんごの剪定枝などを使用してコストを3割程度削減し、価格競争力を出している。中国からの輸入菌床は増え続けており、2020年度の国内しいたけ消費量のうち約17%は輸入菌床から収穫されたものとみられている。

中国産の輸入菌床で育ったしいたけが「国産」表示で出回っていることについて、国内の生産者らは問題意識を深めていた。2020年の基準改正によって植菌地を任意で表示できるようになったが、対応する業者は一部にとどまっていた。

今回、消費者庁が“義務化”という規制強化にまで踏み込んだことで、積年の懸念が解消されるかたちとなり、国内のしいたけ生産者らの間では、「これでフェアな市場が形成される。『国産』のブランド力向上にもなる」と期待の声が上がっている。

(2022年3月30日取材)

(トップ画像=生しいたけの原産地表示に関する新ルール)

『林政ニュース』編集部

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