ふくしま緑の森づくり公社(福島県福島市)は、石油元売り大手のENEOS(株)(東京都千代田区)と11月18日に「森林を活用した脱炭素社会の実現に向けた連携協定」を締結した。同公社が管理している会津地域の分収造林地(約1万ha)のうち、2007年度から今年度(2024年度)にかけて森林整備を行った約6,000haを対象にしてJ-クレジット制度に基づく森林クレジットを発行する。年間のクレジット創出量は約4万tを予定しており、ENEOSが全量を購入してカーボン・オフセットに利用する。同公社は、売却益を森林整備費に充てる。
同公社は、今年度を初年度とする「第3次緑の森づくり新生プラン」を策定し、J-クレジットの活用を重点課題に位置づけている。ENEOSも昨年度(2023年度)に発表した「カーボンニュートラル戦略」の中で、2040年にカーボンニュートラルを実現するため、森林クレジットなどを活用する方針を明らかにしている。
ENEOSはこれまでに愛媛県の久万高原町、北海道の森町と、新潟県及び和歌山県の公社とJ-クレジットの活用に関する協定を結んでいるが*1、東北地方の事業体と締結したのは初めて。また、年間約4万tのクレジット購入は過去最大規模になる。クレジットの売買は、早ければ2027年度から始まる予定。
11月18日に福島市の杉妻会館で行われた協定書調印式で挨拶した同公社の佐藤宏隆理事長は、「ENEOS様には東日本大震災時に燃料を緊急輸送していただくなど深いつながりがある」と述べた上で、「J-クレジット制度に関する豊富な知識と経験も有しており、連携協定を締結できることは大変心強い」と期待を込めた。
(2024年11月18日取材)
(トップ画像=協定書を手にするふくしま森林と緑の公社の佐藤宏隆理事長(左)とENEOSの志賀智常務執行役員)

『林政ニュース』編集部
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