(前編)発足5年の兵庫木材センターが第2ステージへ【遠藤日雄のルポ&対論】

(前編)発足5年の兵庫木材センターが第2ステージへ【遠藤日雄のルポ&対論】

ここ数年、地方自治体が公募によって企業などの事業主体を選定し、木材加工工場を新設する動きが目立つようになってきた。かつて高度経済成長期には、安価な労働力を求めて縫製工場や電子部品工場などが山村に進出したが、不況になったらあっさりと撤退し、地方を疲弊させる一因となってしまった。公募誘致型の工場には、このような一過性のビジネスに陥ることなく、地に足のついた持続的な経営を行うことが求められている。そのモデルとして注目されているのが、協同組合兵庫木材センター(八木数也理事長、宍粟市、以下「兵木センター」と略)だ。地元の素材生産業者が結集して製材工場を立ち上げるという独特のスタイルで事業を始めた兵木センターは、発足5年が経過してどのような状況になっているのか。製材工場が稼働する直前の平成22年12月に兵木センターを訪問した遠藤日雄・NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長が、再び宍粟市に入った。

「2年赤字の3年黒字」、年間約9万m3の量産工場に成長

遠藤理事長

兵木センターが稼働してから丸5年が経過した。5年前に来たときは、製材ラインも試験運転中でがらんとしていたが、今では原木(丸太)と天然乾燥材が溢れんばかりで圧迫感さえ感じるほどだ。工場の稼働状況はどうなのか。

八木数也・兵庫木材センター理事長
八木理事...

遠藤日雄(えんどう・くさお)

NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長 1949(昭和24)年7月4日、北海道函館市生まれ。 九州大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士(九州大学)。専門は森林政策学。 農林水産省森林総合研究所東北支所・経営研究室長、同森林総合研究所(筑波研究学園都市)経営組織研究室長、(独)森林総合研究所・林業経営/政策研究領域チーム長、鹿児島大学教授を経て現在に至る。 2006年3月から隔週刊『林政ニュース』(日本林業調査会(J-FIC)発行)で「遠藤日雄のルポ&対論」を一度も休まず連載中。 『「第3次ウッドショック」は何をもたらしたのか』(全国林業改良普及協会発行)、『木づかい新時代』(日本林業調査会(J-FIC)発行)など著書多数。

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