奈良県の下北山村で、10年ぶりに製材所が“復活”した。休止していた村営の製材所を再整備し、5月1日に開所式を開催。南正文村長は、「チャレンジなくして成功はない。村の92%を占める山林を活用するため、この施設を拠点に頑張る」と意気込みを語った。
再整備前の製材所は、1985(昭和60)年頃に民間の製材所が閉所したことを受けて村営施設として設立された。だが、約10年前から休止状態となり、村内で伐出された木材が村外の市場などへ流出する状況が続いていた。
同村では、2015(平成27)年10月に策定した「下北山村地方創生総合戦略」の中で、村営林産加工施設の再整備方針を打ち出した。これに基づき、地方創生拠点整備交付金(2,500万円)を活用して総事業費約7,900万円を投じて、製材加工事業を再スタートさせた。
再整備した製材所の敷地面積は約2,610m2。第1・第2加工場と製品保管庫、事務所からなり、大割自動帯鋸盤や全自動車上式送材車、立型丸棒削機やレーザー加工機などを導入した。大割自動帯鋸盤は、1.2mの大径木を製材でき、建築用材だけでなく家具用材も生産可能。また、丸棒加工機で小径木を製材し、木製遊具や工事用資材として活用することも計画している。
製材所の指定管理者には、村内で家具工房を営むスカイウッド(株)が選ばれた。同社は、従来からの家具に加えて、製材事業にも進出する。村内には、同社のほかにも木製遊具や割箸を製造する業者がおり、村全体で林業の6次産業化につなげていく方針。同村の担当者は、「生活の中で使う身近な商品の開発を行っていきたい」と話している。
(2018年5月1日取材)
(トップ画像=大径木を製材できる大割自動帯鋸盤)
『林政ニュース』編集部
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