過剰木材利用対策の助成金支給は「不適切」、会計検査院が指摘

新型コロナウイルス対策として実施された林野庁の「過剰木材在庫利用緊急対策事業」の助成金交付で、不適切な支給が行われていたことが会計検査院の調査でわかった。同院は、10月25日付けで林野庁に対して意見を出し、是正を求めた。

同事業は、コロナ禍で経済活動が停滞し、だぶついた在庫を解消するために、2020年度に実施された。全国木材組合連合会が事業主体となり、全国の工務店など487事業者に約71億円の助成金を交付して、木材製品が使われるように支援した。同事業を利用するにあたっては、他に国からの助成を受けていないことが要件となっていたが、同院が調べた結果、147事業者に助成した23億8,515万円については、他の助成金を重複して利用していたり、同事業がなくても木材製品を使うことが決まっていた。意図的な不正が行われたわけではないが、助成金の要件に関する関係者への説明やチェック体制が不十分だったと同院は指摘している。

都市(まち)の木造化推進法(改正木材利用促進法)の施行などが“追い風”となって、木材製品の活用を支援する制度が拡充されてきているが、重複利用や二重取りを排除する横断的な仕組みづくりも必要な状況となっている。

(2022年10月25日取材)

『林政ニュース』編集部

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