7拠点に50棟のキャビン整備、月5万5,000円で利用可能
「SANU 2nd Home」は、(株)SANU(サヌ、東京都中央区、福島弦CEO)が運営・提供するサブスクリプション型のキャビン(小屋)貸し出しサービスだ。東京都心から1時間半から3時間と好立地にあるリゾート地で展開しており、いつでも好きな場所を選んで滞在できる。現在は7拠点に50棟のキャビンがあり、全体の稼働率は約80%と高水準を維持している。
キャビンの貸し出しは会員制で行っており、初期費用はゼロ。会員登録をして、月額5万5,000円を払うと、ピークシーズンを除いて月~木曜日は無料、金~日曜日と祝日及び祝日の前日は1泊5,500円の宿泊費で利用できる(別途、清掃費(3,300円)が必要)。予約やチェックインなどの手続きは、スマートフォンなどを使ってWEB上で行い、人手は必要としない。手軽に滞在してレジャーを楽しんだり、ワーケーションをするなど使い方は自由だ。
コンクリートを使わないキャビンに釜石地方森組のスギ材使用
1月18日の午後、長野県茅野市にある「SANU 2nd Home 白樺湖・2nd」に約40名の見学者がやってきた。一行は、「『ウッドデザイン賞』優秀作品等に学ぶ視察ツアー」のメンバーで、同ツアーの目玉施設として「白樺湖・2nd」を訪れた。
昨年6月にオープンした「白樺湖・2nd」は、8,000m2の敷地内に5棟のキャビンと1棟の管理棟がある。施設整備にあたっては、敷地内の樹木について調べ、伐採本数を最小化する「木を伐らない開発」を行った。また、建築では高床式を採用し、コンクリートは使わずにオリジナルの鉄の杭を6本打ち込んだ上にテント型のキャビンを設置するかたちとした。高床式にすることで、風の流れを止めず、土への負荷を最小化する狙いがある。
建築材料には釜石地方森林組合から調達したスギ材を使用し、釘やビスを極力使わずに解体しやすくする工夫が凝らされている。
キャビン内は、高さ4mの天井と大きな窓によって開放感のある木質空間が広がっており、高速Wi-Fiなども完備されている。
「つくるほど森が豊かになるリジェネラティブな建築」目指す
「白樺湖・2nd」を視察したツアー参加者からは、「ゆったりとした時間が過ごせそう」などの感想が聞かれたほか、山元(森林・林業)との関係に関する質問も出た。「SANU 2nd Home」では、収益の一部で植林活動も行っている。
キャビンの設計・施工を担当している(株)ADX(福島県二本松市)の安齋好太郎CEOは、「つくればつくるほど森が豊かになる『リジェネラティブな建築』を目指している」と説明した上で、「来年度(2023年度)には国産材利用をさらに進めたキャビンをリリースしたい。建築費用の約60%を木材に充てることも検討している」との計画を示した。
「SANU 2nd Home」のWEBサイトを訪れると、「自然と共に生きる」の文字が飛び込んでくる。この目標の実現に向けて、サービスやキャビンの進化が続いていきそうだ。
(2023年1月18日取材)
(トップ画像=「SANU 2nd Home 白樺湖・2nd」のキャビン)
『林政ニュース』編集部
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