群馬県フォレスター等民国連携推進連絡会(略称「ぐんまフォレスター連絡会」、会長=野畑直城・群馬森林管理署長)*1は、「玉ねぎネット資材」を活用したシカ被害対策をテーマにした今年度(2024年度)の技術交流会を6月5日に開催した。
2021年3月に発足した同連絡会は、最新の林業技術の習得などを目的にした技術交流会を毎年度実施している*2。今回は、群馬森林管理署が2019年度から試作を重ねてきた新しいシカ食害防止ツールの実用性を確かめた。
群馬署は、シカ被害対策に要するコストを削減するため、ホームセンター等で手軽に購入できる「玉ねぎ包装用ポリネット」を使って、単木保護資材を製作する方法を確立した。「玉ねぎネット資材」は、ポリネットのほか、竹杭、ダブルクリップ、針金という4つの材料だけで、1個当たり2分程度で簡単につくることができる
6月5日の技術交流会では、午前中に前橋市の関東森林管理局で参加者それぞれが「玉ねぎネット資材」を製作し、午後は安中市にある国有林の植林現場に移動して、苗木に取り付けた。
「玉ねぎネット資材」は、軽くて嵩張らないため持ち運びがしやすく、少ない手順で簡単に設置できるメリットがある。ha当たり2,000本を植林する場合で、1個当たりの資材費は約325円、人件費は約330円、合計約655円にコストが抑えられると試算されている。
技術交流会で挨拶した同連絡会の野畑会長は、「玉ねぎネット資材」の特長を解説した上で、「一般資材(既存商品)を否定したりするものではない」と付言し、「食害対策はシカの生息状況や被害実態に応じて属地的に進める必要がある。対策費を低コスト化する1つ手段として紹介するものであり、採用する・しないは、施業を行う方々にお任せたい」とした。 なお、「玉ねぎネット資材」の製作手順などは、群馬署のウェブサイトに掲載されている。
(2024年6月5日取材)
(トップ画像=植栽した苗木に設置した「玉ねぎネット資材」 、画像提供:群馬森林管理署)
『林政ニュース』編集部
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