葉っぱを材料とした切り絵、樹種ごとの性質等を活かして創作
皆さんは、リーフアート(葉っぱ切り絵)をご存じでしょうか。
この分野で有名な人として、「葉っぱ切り絵作家リトさん」がいます。テレビなどでも紹介されているので、知っている人も多いと思います。実は、私も、2021(令和3)年の夏に、リトさんの作品を見て、その繊細さに感動したことがきっかけで、リーフアートを始めました。
リーフアートは、紙の代わりに葉っぱを材料とした切り絵です。つくり方は、紙の切り絵とほぼ同じで、葉っぱの裏側に作品の絵を下書きし、デザインカッターで切り抜いていきます。ただ、紙とは異なり、葉っぱには、①葉脈がある、②湾曲している、③厚さが均一でない、④形が様々、⑤水分が多い──などの性質があるため、イメージどおりに切ることが難しいのですが、その分、作品ができあがったときの感動は一入です。
私はこれまでに、70種類を超える樹種の葉っぱで、様々な作品をつくってきました。その結果、厚みがあり、柔らかく、葉脈が目立たない樹種が適していることがわかりました。とくに、細かい模様のある作品の場合は、主として常緑広葉樹であるアオキ、ユズリハ、サンゴジュを材料にするようになりました。
ワークショップを通じて森林・樹木への興味・関心を引き出す
リーフアートを始めた当初は、個人的趣味で作品づくりをしていただけでしたが、2022(令和4)年の春頃から、「森のリーフアーティストうけさん」という名前で、一般の方々を対象としたリーフアートワークショップを開催するようになり、これまでに大小あわせて30回以上ワークショップを行ってきました。
ワークショップを実施するときに心がけているのは、単にリーフアートの楽しさを伝えるだけではなく、森林や樹木の話もして、森や木に興味・関心を持ってもらうようにすることです。とくに、子ども達を対象とする場合は、近くの公園などで樹木観察をしてからワークショップを行うようにしています。室内だけの開催になったときも、できるだけ多くの種類の葉っぱを用意して、直接触ってもらい、樹木の多様さ、不思議さを実感してもらっています。
私は、生の葉っぱを使い、葉縁を残して葉っぱの形をとどめるようにすることにこだわっています。生の葉っぱは、時間とともに乾燥が進むので、きれいに切り取ることが難しいのですが、葉っぱそのものの特徴を肌で感じてもらいたいという思いがあります。実際、ワークショップの間、「良いにおいがする」、「葉っぱの表と裏で肌触りが違う」という声が上がったりします。ワークショップが終わった後、「この葉っぱの木はどこに生えているんですか?見に行きたい」、「今度、森の中で探してみる」といった声が子ども達の口から出てくると、とてもうれしいですね。
(トップ画像=農林水産省1階の「消費者の部屋」でも1月22日から26日までリーフアート作品が展示され、ワークショップも行った)
『林政ニュース』編集部
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