林業特化型求人サイト「RINDO」が業績を伸ばす【ベンチャーの星】

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昨年(2024年)1月に運営を始めた林業特化型求人サイト「RINDO」が着実に業績を伸ばしている。今年(2025年)6月上旬までに30都道府県から50近くの森林組合や林業事業体などが同サイトに求人情報を出した。運営主体の(株)RINDO(長野県伊那市、中村就社長)は、4月上旬に投資型のクラウドファンディングで約3,200万円の資金を調達し、事業拡張に向けた新規投資を計画している。

月間訪問ユーザー数約1万2,000人、定額型と成功報酬型を用意

「RINDO」の月間PV(ページビュー)数は約2万6,000(2025年4月時点)、月間訪問ユーザー数は約1万2,000人(同)に達している。同サイトの求人情報に対して、これまでに約80名が応募しており、採用率は約60%と高い水準を維持している。応募者の3分の2が20~30歳代と若いのが特徴だ。

同サイトのユーザーは、会員登録が不要で、エントリーから採用まで無料で利用できる。

求人ページは、インターネット広告のLP(ランディングページ)のような長文になっており、業務内容だけではなく、会社代表のメッセージや職場環境なども細かく掲載して、働くイメージを掴みやすくしている。

同サイトが提供している求人情報の掲載プランは、①定額掲載型と②成功報酬型の2種類。①定額掲載型には、1か月、6か月、12か月、24か月の4プランがあり、それぞれ掲載料と割引・特典を用意している(参照)。一方、②成功報酬型は、ヒアリングシートに記入後、求人情報を公開して応募者と直接やり取りし、内定・入社後に手数料を支払う仕組みとなっている。

中村社長「必要不可欠の存在になり2032年のIPO目指す」

RINDOを創業した中村就社長(31歳)は、大学を卒業後、人材系のメガベンチャー企業へ入社し、保育業界の人材支援業務に従事した。

その後、当時の取引先だった保育園運営会社に役員秘書として転職し、保育施設の新規開園担当者となって設計・建築業務を進める中でウッドショックを経験。国産材の活用や日本の森林への関心を高め、林業界の人手不足問題の解消に自らの経験を活かせるのではないかと考え、父である中村博・(株)やまとわ社長(第645号参照)と相談の上、同社を2023年に立ち上げた。

中村就・RINDO社長

中村社長は、「(RINDOが)林業界で必要不可欠の存在になり、2032年のIPO(新規株式公開)を目指したい」と抱負を語る。

IPOに向けて同社は、優良人材の紹介事業である「RINDOエージェント」をリリースし、2027年には「RINDO採用代行」と、林業用の道具や消耗品を販売するEC(電子商取引)事業を立ち上げる予定だ。続いて、2028年には林業機械メーカー等向けバナー広告事業を立ち上げて収益性を高め、2029年からはトータルとしての広報活動、営業を強化していく将来像を描いている。

4月上旬に調達した約3,200万円の新規資金は、このビジョン達成に向けて、サイトのリニューアルや人材の拡充などに充てる方針だ。中村社長は、「熱意ある求職者と企業とのマッチング度を高めて、林業界の底上げを図りたい」と意欲をみせている。

(2025年6月15日取材)

(トップ画像=「RINDO」のトップページ)

『林政ニュース』編集部

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